2021年4月12日の「グレーテルのかまど」は、「チャップリンも夢中!ツーガー・キルシュトルテ」。
ツーガー・キルシュトルテ(zuger Kirschtorte) は、喜劇王のチャップリンが晩年を過ごした、スイスのケーキ。
この地特産のサクランボのお酒、キルシュヴァッサーを使ったケーキです。
チャップリンは、とてもこのケーキを愛していたのだとか。
どんなケーキなのでしょうか?
ツーガーキルシュトルテは、キルシュワァッサー(さくらんぼのお酒)を使ったお菓子!いつどこで誕生したの?/グレーテルのかまど
ツーガー・キルシュトルテは、さくらんぼの産地として有名な、スイスの中部に位置するツーク市で生まれました。
ツークは、13世紀に誕生した観光都市で、1480年に建てられた、街のシンボルでもある時計塔が有名です。
ツークの人たちは、誕生日や、家族が集まる時に、食べるのだそうです。
ツークで生まれた人は、このケーキと一緒に育つのだとか。
欠かせない存在なのですね。
ツガーキルシュトルテはキルシュ酒たっぷりらしいのでTulipコミュでお酒飲みたさそうな雰囲気を醸し出してた一ノ瀬志希との相性もいい…チョコも使ってないし製法もシュヴァルツヴェルダーより簡単だしこっちだな… pic.twitter.com/02PLEItcNg
— どぼす🥮 (@DobostortaP) February 10, 2019
ツーガー・キルシュトルテは、見た目がかわいらしい、桜色。
まさに春!を思わせるケーキですね。
この桜色は、さくらんぼをイメージして、食紅(スイスのツークではビーツで色づけしていました)で染めたバタークリームを挟んでいるからなのです。
このスイーツの特徴は、なんといっても、キルシュヴァッサー(さくらんぼのお酒)をたっぷり使っていること❣
キルシュヴァッサーと言えば!
お隣のドイツでも、このお酒を使った有名なお菓子が、ありました!
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(黒い森のさくらんぼケーキ)です。
同じキルシュヴァッサーを使ったケーキですが、シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテは、さくらんぼが、ケーキの中にも、飾り付けにも使われますが、ツーガー・キルシュトルテには、さくらんぼは、見当たりません。
さくらんぼの存在は、スポンジに沁み込ませるお酒(キルシュヴァッサー)のみなのです!
*シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(黒い森のさくらんぼケーキ)については、以下URLのページをご覧ください。
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(黒い森のさくらんぼケーキ)はドイツのキルシュヴァッサーが効いたスイーツ!/グレーテルのかまど
ツーガー・キルシュトルテは、ツークでお店を開いた菓子職人が、街の特産である、キルシュヴァッサーを使った、新しいお菓子を生み出そうと、1915年に作り出されました。
キルシュヴァッサーをたっぷり含ませたスポンジケーキ(ヴィーナーマッセ)を、アーモンドを混ぜたメレンゲ(ジャポネマッセ)と、桜色のバタークリームで挟み、側面にスライスアーモンドを飾り、上面に粉砂糖をふって、ナイフで格子模様をつけます。
スポンジケーキ(ヴィーナーマッセ)は、はちみつと、アーモンドプードルで作るので、生地のキメが粗く、たっぷりのキルシュヴァッサーを含ませることができます。
キルシュヴァッサーの香りと、バタークリームの風味の中で、サクサクのメレンゲがアクセントになる、食感を楽しめるスイーツです。
ツーガーキルシュトルテは、喜劇王チャップリンのお気に入り!/グレーテルのかまど
ツーガー・キルシュトルテは、誕生から100年あまりの間、ツークの人たちに愛され続けてきました。
そして、あの喜劇王チャップリンも、大ファンだったとか。
チャップリンが雇っていた料理人が、ツーク出身だったので、ツーガー・キルシュトルを食べる機会があったのでしょう。
チャップリンは、とても気に入って、是非本場の味を!と発祥のお店まで、何時間もかけて食べに行っていたようなのです。
そして、こんな逸話もあります。
チャップリンの誕生日は4月16日。
チャップリンが、ツーガー・キルシュトルテを好きなことを知ったファンが、チャップリンに贈ろうと職人に依頼したところ、チャップリンの為に作ることに緊張した職人は、誕生日の1週間も前に 届けてしまったのだとか。
まさしく喜劇ですね!
ツーガーキルシュトルテを作ってみましょう!/グレーテルのかまど
チャップリンを魅了した、ツーガー・キルシュトルテを作ってみましょう。
味わいのキメテ サクサクとしっとりで春満開
メレンゲ生地
1.アーモンドパウダーと、薄力粉、粉砂糖を合わせて、ふるいにかけます。
2.卵白を泡立てて、そこに、グラニュー糖を少しずつ加えていきます。角がたつくらいに泡立てます。
3.泡立てた卵白に、薄力粉、粉砂糖、アーモンドパウダーを加えて、泡が消えないようにさっくりと混ぜます。途中でバニラエッセンス(5滴ほど)を加えます。
4.天板に、直径21cmの円を描いたオーブンペーパーを敷いて、円からはみでないように、メレンゲ生地を搾りだします。絞り出しの口金は、細いものを使用して、内側から外側に向けて、円を描くように長く生地を搾りだします。
(口金を細くすることで、生地を薄く作ることができます)
5.メレンゲ生地は、2枚分を搾りだします。
6.180度のオーブンで20分焼きます。
桜色のバタークリーム
1.ボウルに、全卵、塩を合わせます。そこに、グラニュー糖を少しづつ加えて、生クリームを入れます。
2.鍋に移して、沸騰させます。砂糖が入っているために、焦げつかないように泡だて器で混ぜます。
3.鍋肌がぐつぐつしてきたら、濾しながらボウルに移し、氷水で冷やします。
4.やわらかくしたバターを加えて、混ぜ合わせます。
5.色粉を2~3滴入れて、桜色にします。
スポンジ生地
1.薄力粉に、浮き粉、アーモンドパウダー合わせて、ふるいにかけます。
生地に、アーモンドパウダー(アーモンドを粉末にしたもの)を加えると、風味やコクをプラスできる上に、小麦粉に比べて 粒子が粗いので、焼き上がりが、ざっくりとして、シロップが染み込みやすくなります。
2.全卵と卵黄、グラニュー糖を合わせて、湯せんで人肌程度に温めたら、湯せんから外し、ふんわりときめ細かくなるまで泡立てます。
3.1.の粉類を入れて、ゴムべらで切り混ぜ、溶かした無塩バターを加えていきます。
4.型に入れて、180℃のオーブンで約35分焼きます。
5.焼けたら、冷まして、表面と底部分を薄くカットして表面を平にしておきます。
組み上げ
1.メレンゲ生地に、バタークリームをヘラで、ひとすくい分のせて、うすく広げて表面を整えます。
2.1.の上にスポンジ生地をのせ、キルシュヴァッサーのシロップをたっぷり含ませます。
3.2.の上に、バタークリームをへらでうすく広げて、もう一枚のメレンゲ生地を底が上になるようにのせます。
4.ケーキの表面全体を、バタークリームで薄くコーティングします。
5.ケーキの上部に、グラニュー糖、粉砂糖を順にふりかけます。
バタークリームに粉砂糖を直接ふると、クリームに溶けてしまうので、グラニュー糖を先にふって、カバーします。
6.ナイフで格子模様に筋をつけ、側面にアーモンドスライスをつけます。
※冷蔵庫に保存します。翌日のほうが、生地にお酒がなじんで美味しくなります。
材料
21cm 1台分
<メレンゲ生地>
卵白 70g Mサイズ約2.5個分
グラニュー糖 70g
バニラエッセンス 適量
アーモンドパウダー 63g
薄力粉 16g
粉砂糖 24g<アーモンド風味のスポンジ生地>
全卵 150g Mサイズ3個分
卵黄 30g Mサイズ1.5個分
グラニュー糖 95g
薄力粉 53g
浮き粉 30g
アーモンドパウダー 53g
無塩バター 23g<キルシュシロップ>
シロップ 100g 水とグラニュー糖を1:1で作ったもの
キルシュ酒 150ml<バタークリーム>
生クリーム(38%) 150g
グラニュー糖 150g
全卵 50g Mサイズ1個分
塩 2g
無塩バター 225g
食用色粉(赤) 適量
グラニュー糖(粗いもの) 適量
粉砂糖 適量
アーモンドスライス 適量出典)NHKグレーテルのかまど
~チャップリンも夢中!ツーガー・キルシュトルテ~より
ツーガー・キルシュトルテ
レシピ監修 エコール 辻 東京 中濱 尚美 先生
ツークのさくらんぼ祭り/グレーテルのかまど
ツークの人たちにとって、さくらんぼは、特別な存在。
そのさくらんぼが主役の、人々が大いに盛り上がるイベントが、初夏のツークで開催されます。
『さくらんぼ競争』
これは、さくらんぼの収穫に使うハシゴやカゴを持って、旧市街の路地を走るイベントなのです。
さくらんぼの収穫用に使うハシゴの長さは、だいたい12メートルくらい。大型のはしごです。
ツークで育てられているさくらんぼは、ブラックチェリー。
高い木に実るので、収穫には、長いハシゴが必要です。
ブラックチェリーは、600年前から栽培され、かつては、街の貴重な収入源として、街全体の共有財産でした。
さくらんぼが盗まれないように、番人が雇われていたほどです。
18世紀に入ると、収穫開始日を定めて、合図に教会の鐘を鳴らすことにしました。
鐘が鳴ると、皆が、さくらんぼのなっている丘を目指して走ります。
さくらんぼの木に、最初にハシゴを立てた人が、その木のさくらんぼを、全部とる権利を得られるのです。
大切なさくらんぼの栽培の伝統を、後世に伝えようと、2008年に「さくらんぼ祭り」として、当時の収穫開始の様子を復活させたのです。
「とれたてが 一番おいしいけど、その香りをいつでも楽しめる、ツーガー・キルシュトルテは 最高!」
ツーガー・キルシュトルテは、ツークの人たちが愛するケーキなんですね。
まとめ
スイスのツークは、ドイツ語圏であることから、ドイツの文化を継承しているのでしょうね。
収穫されたさくらんぼから、キルシュヴァッサーを作り、それを使ったお菓子が国を跨いで、この地域でも愛されているんですね。
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