2020年8月9日の「情熱大陸」の放映は、ペット探偵の藤原博史(ふじわら ひろし)。
今やペットは、愛玩の域を超えて、人の伴侶(はんりょ)、家族同然の存在として、心を通じ合わせて日々の生活を共有している大切なコンパニオンアニマルといわれています。
日本で飼育されている犬や猫は、約1900万匹。人口の約1/6を占める多さにびっくりです。
多くの人が、家族同然に大切にしている犬や猫が、何かのきっかけで急にいなくなってしまったら、その喪失感は、想像できないくらいに大きなものでしょう。
例えば、お散歩中に他の犬に吠えられて、びっくりして逃げてしまった犬や、引っ越し先から、以前の家に帰りたくて、行方が分からなくなってしまった猫とか。
帰りたくても帰れない状態になってしまった犬や猫などを探して、飼い主のもとに帰す、そんな仕事を藤原博史は、25年間続けています。
今までに発見、救出して家に帰した犬猫は、2500匹以上。
すごいですね。1年で、約100匹の犬や猫が、我が家へ帰れたってことです。
彼は26歳の時に、この仕事、“ペット探偵”になることを、思いついたそうです。
そして、1997年に「ペットレスキュー」を設立して、犬や猫をはじめ、ウサギといった哺乳類からインコやヘビ、カブトムシまで、迷子になったペットを探し出して、家族の元に帰しています。
こんな仕事があることに驚きましたが、大事な家族を何としても探し出したい時に、飼い主にとって、どんなにか心強い存在だろうと思いました。
情熱大陸 藤原博史のプロフィール
藤原博史は、1969年に兵庫県生まれています。
幼少のころから無類の動物好きで、小学生の時、将来は動物にかかわる仕事に就きたいと思っていたそうです。
レストラン、ホテル、工場、漁業など様々な職業を経て、26歳の時、迷子になったペットを捜す「ペット探偵」になることに閃きました。
1997年、28歳の時に、神奈川県藤沢市に「ペットレスキュー」を設立しています。
以来、25年にわたりペット探偵として活躍してきました。
その活躍から、NHK BSプレミアム(2018年12月)、NHK総合(2020年4月)で放映された、ネコ探偵のドラマ「ドキュメンタリードラマ “猫探偵の事件簿”」のモデルにもなっています。
著書には、「ペット探偵が見た!」(1,430円(税込み)2013/06/28発売)、「210日ぶりに帰ってきた奇跡のネコ ペット探偵の奮闘記」(792円(税込)2020/02/15発売)があります。
また、「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営している「ほぼ日」の犬猫写真アプリ「ドコノコ」で無料で公開された「迷いネコ探しマニュアル」の監修にも携わっています。
情熱大陸 ペットレスキュー藤原の口コミ
私共の発見率は80%以上です。残念ながら100%の発見はお約束できません。
(出典:ペットレスキューの公式サイトより)
藤原は、ペットレスキューの公式サイトでこう言っています。
80%以上!!どこに行ってしまうのか検討がつかない犬や猫などを発見することは容易ではないのに、この確率は、相当高いと思います。
実際、年間200件以上の依頼が殺到するカリスマペット探偵といわれています。
その探し方も、公式WEBには、惜しげもなく書かれています。
迷子になった犬や猫たちを救う!という想いは当然のことながら、飼い主である人の想いに寄り添い、その人生を何とか支えたい、という藤原の大きなミッションを感じます。
藤原の迷子捜しは、まず、飼い主からの聞き取り調査から。
行方不明になった日時や場所、犬猫の特徴や性格に至るまで、40項目に及ぶ質問をすることで、1匹ずつ「カルテ」を作成していくそうです。
そして、「カルテ」作成をしながら、出てきた何気ない話の中に捜索のヒントが隠されていることがあるのだとか。
本当に人と全く変わらないのですね。
1匹1匹の性格も思考も育った環境も、別なわけですから、取る行動も当然変わってくるでしょう。
更には、その土地の地形や、地図などもプロファイルし、複合的な要因からペットを探し出していくそうです。
そして、捜索時は、人間の思考をいったん捨てて、動物に合わせていく。動物の気持ちがわからないと、近づくこともできないそうです。
そうだろうな、と当たり前のように思いますが、それは容易なことではないに違いありません。
情熱大陸では、そんな藤原の捜索模様が映しだされていました。
PET RESCUE [ ペットレスキュー ]
〒251-0002 神奈川県藤沢市大鋸3-7-32
代表 藤原 博史日本全国出張します。
電話による無料相談・アドバイス:0120-73-1020
メールでのお問い合わせ:petrescue@live.jp■料金
捜索時間:1日 8時間作業
料金:1日作業料金 ¥30,000 + 税 + 経費※
当社は1日単位のご依頼システムになっています。
作業毎にご依頼者様と相談しながら状況により捜索日数を決めていただきます。無駄な出費を抑え低予算でご依頼いただける契約内容になっています。詳細はフリーダイヤルでお問い合わせください
※ チラシ、ポスター、コピー代金、交通費
遠方ご依頼の場合、出張費、宿泊費、捜索期間終了後の捕獲、情報確認、ポスター撤去等の作業につきましては日数分の経費が別途必要となりますことをご了承ください。■キャンセル料の発生につきまして
捜索予定日前日から、基本料金¥33,000のキャンセル料金が発生します。
尚、チラシは外部発注のため注文後のキャンセルは不可になります。
(出典:ペットレスキューの公式サイトより)
情熱大陸 “ペット探偵”藤原博史(ふじわらひろし)の捜索とは?
「情熱大陸」では、藤原博史のペット捜索が映し出されていました。
捜索の対象は、圧倒的に猫が多いそうです。特にここ数ヶ月、捜索の依頼が急増してきているといいます。
コロナ渦での生活様式が無縁では無いようだ、と藤原はいいます。
「ペットと一緒に過ごす時間が長くなればなるほど、結びつきが強くなることもあれば、反対にペットにとってストレスになる場合もあるかもしれない。人からの影響をペットはダイレクトに受けてしまいますからね。人もペットも一緒にくらすことで、幸せであって欲しいと思います」
最初の捜索現場は千葉でした。
あるお宅の飼い猫の“みかちゃん”が、1週間前にいなくなったのです。
事前の情報から藤原は“みかちゃん”のチラシも用意していました。
藤原が飼い主のお宅を訪問し、お母さんと娘さんに事情聴取をしていました。
藤原 :いなくなった状況をお伺いしてよろしいですか?
お母さん:玄関を開けた時にすり抜けて出て行っちゃったって言う感じなんです。
藤原 :体重は?
お母さん:4キロちょっと超える位。
藤原 :どんな性格ですか?
お母さん:ちょっと神経質なところがあって、人に触られてもすぐ自分の体を舐めたりとか、
音に敏感だったりとか。
藤原 :好きな場所はどこですか?
お母さん:外を見るのが好きで、冊子の戸を開けてってアピールします。どこから見てるかって
言うと、2階だったりとか・・・
藤原 :ちょっと2階を見ていいですか?
2階の窓から外を見てみる。日頃、“みかちゃん”の目には何が映っていたのかを体感してみます。
藤原は、いつもペット側にたって見てみるそうです。
猫も、性格が違えば行動も違うため、まずは探す相手を徹底的に知って、猫の気持ちになって捜索をすることが、発見への近道だと藤原は言います。
いよいよ捜索開始!
飼い猫の行動範囲は一般に、1日に半径300m前後だと言います。近所の住宅地を見回りながら、“みかちゃん”が行きそうなところを探していきます。
「今日は風が強いから、きっと怖がっていますね。葉のすれる音が余計に怖くて、隠れている」と藤原はいいます。
確かに、先ほど飼い主のお母さんは、「みかちゃんは神経質」と言ってました。
ペット探偵業の1番のネックは、人の敷地に入らなければ、ペットを探せないことです。今の時代、断られる事もよくある上に、留守や、空き家も少なくはありません。
ペットには敷地なんていう概念がないので、探すのはなかなか大変ですね。
許可をもらって、よそのお宅の敷地内を調べていくのですが、闇雲に探しているわけではなく、知識と経験で探すべき場所を絞り込んで探していきます。
探し始めて3時間
その時、縁の下で小さく体を丸めている“みかちゃん”を発見!
でも、敷地内に入る許可を得ていない隣りの家の縁の下にいました。。
隣の家の方は留守のようです。
それでも3時間で見つかったのはかなりの幸運だそうです。
藤原は、飼い主だけでも保護できるように、ノウハウを伝えます。
「小さい声で呼んで、出てきたら、人差し指を突き出してください。匂いをかぎにきて、頭を擦りつけてきたら、抱っこして大丈夫。もし、逃げるようなら無理に追わないでください」
後日、藤原は、“みかちゃん”のお宅を再訪していました。
無事に“みかちゃん”は保護されていて、藤原に興味があるらしく、近寄ってきました。
娘さん:藤原さんがすごいのは分かっていたけど、うちの猫が見つかるかどうか不安だった。
一時は、“みかちゃん”がいないまま暮らさなきゃいけないかと思った。家族が割れるか
と思った
藤原 :どういうこと?
娘さん:お父さんが、“みかちゃん”を出しちゃって、お母さんは一生、お父さんを恨んで生きる
んだと思って、ちょっと心配だった。
藤原 :家庭の崩壊だ
本当によかった、無事に戻ってきて。改めてペットは家族だと実感しますね。
藤原は言います。
「ご家族もペットも、どんどん追い詰められて、疲れきってきますから。発見されて戻った時の安堵感っていうのは、すごいものだと思いますね」
“みかちゃん”の他に、鎌倉の一人暮らしのおばあさんからの三毛猫“みーちゃん”と、生後7か月の“コテツ”の捜索が放映されました。
鎌倉の三毛猫“みーちゃん”は、失踪して1か月経っていました。
失踪してすぐの捜索であれば、捜索範囲はある程度の目星をつけながらで可能だそうですが、時間が経つと、行動範囲が広がってしまうために、足で歩いてその土地の地理を把握し、猫の行動を予想していきます。
さらに、2,000枚ものポスターをポストに投函しながら、情報提供を促していきます。
歩いて歩いて、日に20キロ近く歩くこともあるそうです。
情報提供者がいれば、即現地に行き、いつ現れるとも分からない猫を待って確認をすることを繰り返します。
すぐに結果が出ないことも少なくない、根気の要る仕事です。
ペットを探す時間に答えはないと、藤原はいいます。
飼い主さんが、心の整理ができるまで、飼い主さんが決めることなのです。
そして、生後7か月の“コテツ”の捜索は?
夜7時半ごろ、決まった場所に“コテツ”が現れることをつかんでいると言う飼い主さん。
藤原は、手動のトラップを使って“コテツ”を保護することにしました。
7時半は暗い。。。そんな中、捜索対象を見極めトラップを手動で操作するのは、並外れた視力と経験が必要に違いありません。
息を潜めて待つこと1時間。
藤原が強く紐を引いて、トラップ目掛けて走り出しました。
「えっ!何?“コテツ”なの?」
視聴者も思わず“?”と思う瞬時のことでした。
トラップに駆け寄り、中を覗き込むと、居たのは、“コテツ”でした。
家に戻った“コテツ”を迎えた家族は、口々に「お帰り」「お帰り」と喜びの声をあげていました。
ほっとした安堵感を感じました。
飼い主の方のペットへの想い。家族を失った喪失感と悲しみや再会の喜び。
見ていて思いました。ペットはもちろんだけど、これは人や家族のドキュメンタリーなのだな、と。
ペットの存在が人自身、あるいは、人と人の関係にすらも深く影響を与えているのだ、と。
藤原は、少しでもペットの役に立ちたい、そんな思いを共有する人たちと、情報交換を定期的に続けているそうです。
仲間の1人である獣医は、当初“ペット探偵”を名乗る藤原を、めっちゃ胡散臭いと思っていたのだとか。しかし、藤原と話しているうちに、この人は、自分の哲学を持って、人生の全てを注いでやっているんんだと、その本気の迫力に打たれたそうです。
単に動物好き、と言うだけで続けられる仕事ではないことは、間違いありません。
人間関係の軋轢に合うことあるでしょうし、見つからないペットがいれば、藤原自身もずっと引きずることになります。
覚悟の上で選択した職業なのだなと、藤原のいさぎ良さと、貢献したいという強い想いに感動しました。
情熱大陸 “ペット探偵”藤原博史を観て
藤原博史を映像で見て、行動が素早いのに、なんて声が穏やかでやさしいのだろう、と思いました。
動物と寄り添う声なのか、動物を驚かさないようにするためなのか、感情を露わにすることなく、いつも慈愛に満ちて、動物と人間を取り持っているように感じました。
ゆっくりと諭されるように語られる一言一言に、「人もペットも一緒にくらすことで、幸せであって欲しい」という想いが乗せられているようです。
この声に、動物も人も安心感を持って、藤原に委ねるのではないかな、と思いました。
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