2020年11月23日の「グレーテルのかまど」は、「イタリア クリスマスの黄金のパン」。(初回放送2019年12月9日)
「イタリア クリスマスの黄金のパン」とは、「パンドーロ」のことです。
「パンドーロ」は、イタリアのベローナが発祥といわれています。
「D’ORO(ドーロ)」が、“黄金”を意味するため、「パンドーロ」は、別名「黄金のパン」とも呼ばれています。
イタリアでは、クリスマスが近づくと、お菓子屋さんの店頭に、星形の「パンドーロ」が山積みになるといいます。
イタリアのクリスマスに欠かせない、「パンドーロ」は、どんなお菓子なのでしょうか?
グレーテルのかまど “パンドーロ”はどんなお菓子?
「パンドーロ」は、背が高く、上から見ると、星型なのがかわいいパンです。
表面のこんがりとした見た目とは対象的に、中は黄色でキメ細かいスポンジで、カステラのように、ずっしりとしています。
「パンドーロ」は、卵黄とフレッシュバターを贅沢に使って、何度も発酵を繰り返して生まれる、フワフワした生地が特徴の、自然発酵菓子なのです。
グレーテルのかまど “パンドーロ”の食べ方は? イタリアではこう食べる
「パンドーロ」は、食べる時に、一緒に添えられている粉糖を振りかけて食べます。
粉糖を振りかけるといっても、ふりかけのように、パラパラとかけるのではありません。
「パンドーロ」の入っている袋にバサッと全部入れて封をし、袋を上下にカシャカシャと振ってまんべんなく、粉糖が「パンドーロ」につくようにします。
豪快に粉糖をまぶして食べる食べ方が、何だか楽しいですよね。
「パンドーロ」は、イタリアでは、食後のデザートとして食べられることが多いそうです。
基本は、縦に切ってたべるのですが、横にスライスしてできる断面の星形を利用して、下から、少しずつずらして重ねていくと、まるでクリスマスツリーのようにデコレートすることができます。
星型の尖った部分にクリームをのせたり、果物をのせたりすれば、キュートな彩りのクリスマスツリーの完成です。
家族や、友人とオリジナルのツリーを作って食べるのも楽しいかもしれません。
イタリアでは、主にクリスマスの4週間前から、「パンドーロ」が店頭に並びます。
クリスマスシーズン中、家族や友人どうしでもプレゼントをし合いながら、この期間、「パンドーロ」を楽しむのです。
この時期に、1人いくつぐらいを食べるのでしょうね?
クリスマスを祝うお菓子には、その地域のさまざまな文化やしきたり、歴史などが込められて、より味わい深いものだと思います。
グレーテルのかまど ”パンドーロ”の誕生と、老舗店存亡の危機
「パンドーロ」は、13世紀、北イタリアの都市ベローナで生まれたと、伝えられています。
当時の領主、デッラ・スカーラ家が、クリスマスを、”ナダリン”と呼ばれる星形の焼き菓子で、祝ったのが起源です。
ふだんは贅沢で、あまり使うことのできなかった、バターと卵をたっぷり入れた、クリスマスならではのお菓子でした。
18世紀に、この”ナダリン”を、あるお菓子屋さんが、ふんわりとしたパンに改良して、「パンドーロ」と名付けます。
やがて「パンドーロ」は、イタリア全土で親しまれるお菓子になりました。
しかし 2018年、「パンドーロ」を生み出した店(注1)は、倒産の危機に見舞われました。
(注1)メレガッティ(MELEGATTI)社:1894年にヴェローナのドメニコ・メレガッティが、初めてパンドーロの商標登録をした
何代にもわたって伝えられてきた、酵母だけは 失ってはならないと、給与の支払いが途絶えても、職人たちは 交代で守り続けます。
「パンドーロ」を生み出した老舗の危機を救おうと、活躍したのが SNSでした。
ベローナ市民はもちろん、イタリア中の人々が呼びかけに応え、「パンドーロ」を買って、その味を守ろうとしたのです。
150万個ちかくも売れたとか。
イタリア中に広がった「パンドーロ」は、ベローナ市民の誇り。
ベローナ市民は、町を代表する老舗の味を途絶えさせたくなかったのですね。
イタリアの人たちにとって、クリスマスに家族と食べた、大切な思い出を彩る「パンドーロ」には、格別な想いがあるのでしょうね。
グレーテルのかまど イタリアのクリスマスを彩るお菓子(パネトーネ、チェルトジーノ、カルテッラーテ)
まずは パネトーネ(Panettone)。
パンドーロと並ぶ クリスマスのパンで、こちらは、ミラノ発祥の伝統菓子です。
ブリオッシュ生地に、レーズンなどの、ドライフルーツを混ぜて、焼き上げたパン菓子です。
チョコレート入りや、ピスタチオクリーム入りなど、地域によってさまざまなバリエーションがあります。
次は、チェルトジーノ(Certosino)。
これは、北イタリアの都市のボローニャで、クリスマスに食べられる郷土菓子です。
薄力粉、はちみつ、チョコレートで作った生地に、宝石のように煌めく、フルーツの砂糖漬けを飾ったものです。
続いて、カルテッラーテ(Cartellate)。
南イタリア プーリア地方の揚げ菓子です。
イエスの受難のしるしの、”いばらの冠”を型どっているのだそうです。
ヴィンコットと言われる、ぶどうを火で煮詰めた甘酸っぱいソースをかけて、いただきます。
グレーテルのかまど “パンドーロ”を家でも作れるレシピに!
イタリア本場の「パンドーロ」を、家でも作ってみたい!
そんな本格的な味を目指したレシピが紹介されました。
イタリアの本格的な「パンドーロ」作りとは?
その前に、本場イタリアでの「パンドーロ」作りは、どんな風なのでしょうか?
まず、「パンドーロ」作りで、何よりも大切なのは、天然酵母から作られた種生地(LIEVITO MADRE)です。
”リエヴィト”(種生地)とは、小麦粉生地の中に、リンゴからとった天然酵母が、ふんだんに入ったものです。
この種生地を保存することが、「パンドーロ」作りでは、重要なのです。
種生地は、1週間に1度、”リフレッシュ”作業をします。
この作業は、種生地に新しい小麦粉と水を加えてこね、こねあがったら、瓶に詰めて酵母を増やすというものです。
これをしないと、酵母が死んでしまうのだとか。
酵母は、生き物だから、丁寧に扱わないとね!
大切なのは、発酵のタイミングを見極めることなのだとか。
その為、酵母のことがよく分かっている同じ人が、酵母を世話するのが、酵母を長く保つ秘訣なのだそうです。
28℃で3時間ほどおくと発酵が進み、これを、布に包んで保存しておくのです。
これによって、種生地をそのままに、何十年も大切に使い続けることができるのです。
「パンドーロ」を作る時には、種生地に、 バターや卵を加えて、生地を作っていきます。
こねるのと、発酵とを繰り返して型へ入れて、焼く直前に、最後の発酵を28℃で14時間させます。
型いっぱいに生地が膨らんだら、オーブンに入れて焼いていきます。
気温や、生地の状態によって違う発酵の進み方を見極めなければ、「パンドーロ」ならではの、ふわふわ感を出すことはできないそうです。
受け継がれる酵母の力と、時間をかけた丁寧な仕事が、「黄金」の名にふさわしいパンですね。
家で作れる、ふわふわの「パンドーロ」レシピ!
イタリアの引き継がれた天然酵母には及ばないまでも、家でもできる、ふわふわの生地の「パンドーロ」を再現させるレシピです!
なんと!
パン生地を、AとB、2種類作り、 「生地 IN 生地」で発酵生地を合わせると、ふわふわになるのだとか。
是非お試しあれ!
味わいのキメテは、ふんわり食感 かがやく黄金!です。
事前準備
■小麦粉は、ふるっておきます
■(2日目)オーブンを200℃に温めておきます
作り方
まず、パン生地を作ります。
オキテ1:生地IN生地でふんわりと!
◆1日目
【パン生地A】・・・ 普通のパン生地です。
1.ボウルに小麦粉、グラニュー糖、塩を入れ、泡だて器でよく混ぜる。
2.生イーストを溶いた水を入れて、手でよく混ぜ合わせます。
3.粉けがなくなり、生地がまとまったら、パン生地をポリ袋に入れ、冷蔵庫で一晩発酵させます。
◆2日目
【パン生地B】・・・ 黄金のパン生地です。
普通のパンよりも、卵やバターがたっぷり入ります。
やわらかい生地ですので、手指に生地がつきますが、こねていくと生地がまとまってきます。
1.ボウルに小麦粉、グラニュ―糖、塩、スキムミルクを入れて、泡だて器でよく混ぜます。
2.生イースト、水、卵黄を加え、手で混ぜ合わせます。
3.粉けがなくなったら、パン生地Aを入れ、混ぜ合わせます。
4.両手を大きく前後に動かして、手のひらで生地を作業台におしつけるようにこねます。
5.生地をひとつにまとめて、持ち上げて台にたたきつけ、手前に軽く引っ張り、引っ張った生地を上に重ねます。
6.生地の向きを90度変えます。
7.ステップ5~6の作業を繰り返し、台にたたきつけながら生地の表面がなめらかになるまでこねます。
8.パン生地を一部取り、指先で伸ばし、膜が出来るのが確認出来たら(グルテン膜)、パン生地を台に広げます。
9.生地にバターを加え、一緒にちぎるようにしながら、なじませていきます。
10.再び、ステップ4~7の作業を繰り返し、台にたたきつけながら生地の表面がなめらかになるまでこねます。
11.生地を一部取って、指先で伸ばし、薄い膜が確認出来ればこね上がりです。
12.生地を丸くまとめてボウルに入れ、ポリ袋で包んで、冷蔵庫で一晩発酵させます。
◆3日目
発酵して、生地がふっくらしています。
1.生地を 4等分(約160g)にします。
2.生地を軽く丸めて、手の平で少し平らになるように潰し、常温で30分程度休ませます。
オキテ2:ちょっと休めば ふーわふわ!
常温で30分 おいておくと、発酵した時に ガスが入りやすくなって、ふんわりとなるんです。
3.休ませたパン生地を、再度、丸め直して空気を抜き、畳んで畳んで丸くして、ストンとパンドーロ型に入れます。きれいな形に焼き上がるように、星型のギザギザの部分にまで生地が入るように、指で 真ん中を ギュギュギュと押して、しっかり生地を入れこみます。
4.30℃のオーブンで1時間ほど発酵させます。(スチームありが望ましい)
焼きます
5.霧吹きで表面を濡らして、200℃のオーブンで20~25分ほど焼きます。(生地の表面が焦げないように注意)
6.型から外して、常温で冷まします。
デコレーションします
7.焼き上がったパン生地2つを、3cm厚程度にスライスします。
8.徐々に小さくなるように、交互に重ね合わせて、ツリーの形を作ります。
9.粉砂糖をふり、生クリームやアラザン、フランボワーズなどお好みで飾り付けをします。
食べごろと保存方法
保存は常温で、翌日中に食べるのがお勧めです。
材料
<パン生地A( 1日目に作る)>
小麦粉
(強力粉)100g グラニュー糖 2g 塩 2g 生イースト 2g 水 70g <パン生地B(2日目に作る)>
小麦粉
(強力粉)250g グラニュー糖 35g 塩 5g スキムミルク 12g 生イースト 10g 卵黄 40g 水 135g パン生地A 50g バター 110g <仕上げ>
粉砂糖
(飾り用)50g 生クリーム42% 100g 粉砂糖
(生クリーム用)8g アラザンなど飾り 適量 フランボワーズ 適量 (出典)NHKグレーテルのかまど
~イタリア クリスマスの黄金のパン~より 黄金のパン
レシピ監修 エコール 辻 東京 小野 達也 先生 より
グレーテルのかまど 「イタリア クリスマスの黄金のパン」を観て
シンプルな見かけながら、生地が黄金にかがやく、ふわふわのパン。
粉砂糖でも、クリームや飾りで、クリスマスツリーのようにデコレーションして食べる楽しみもある、味だけでなくて、食べ方もバリエーションが豊富なのが、魅力たっぷりですね。
購入して、デコレーションを家族で楽しむのもステキ☆
今年のクリスマスツリーは、わくわくと「パンドーロ」のデコパンで、作ってみるのはいかがでしょうか?
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