2020年9月7日の「グレーテルのかまど」は、「“おジャ魔女どれみ”の愛(いと)しのトゥルビヨン」。
このケーキ、ピンクのドーム型の透き通った赤色のゼリー(ジュレ)の中に、うずまき状の小さいロールケーキの断面が、バラの花束のように透けて見える、なんとも愛らしい、そして、情熱的なイメージのスイーツなのです。
“おジャ魔女どれみ” (おじゃまじょどれみ)は、1999年の放送開始以来、長い人気を誇る、魔法少女アニメ作品です。
アニメでは、ある理由から魔女を目指すことになった少女たちの成長を、その時の社会背景も反映しながら描かれています。
その3シリーズ目(2001年2月4日からテレビで放映)、『も〜っと! おジャ魔女どれみ』の第48話「手がかりゼロ!最後の試験」に、このスイーツは登場します。
このシリーズでは、魔女見習いとしてさまざまな修業にはげんでいく少女たちが、お菓子作りに挑戦するのですが、パティシエになるための最終試験の課題が、「愛しのトゥルビヨン」と言う名のスイーツを再現することでした。
「愛しのトゥルビヨン」は、人間のパティシエの青年が、先々代の魔女の女王(マジョトゥルビヨン)にプロポーズをした時に贈ったロマンチックなスイーツ。
そして、そのレシピは、魔女の女王(マジョトゥルビヨン)が、パティシエ日記から破って人間界に持って行ってしまったという設定になっていました。
このためか、当時、レシピは公開されず、第48話を繰り返し見ながら、自身でレシピを起こしてこのスイーツを再現したという人も多かったといいます。
そして、このスイーツは、フランスのケーキ、“カジノ”にヒントを得て作られた、「おジャ魔女どれみ」のオリジナルスイーツ。
グレーテルのかまどで、やっと原作の、「愛しのトゥルビヨン」のレシピが再現、公開されました。
これを機に、特別な時に手作りをする人気スイーツになるかもしれませんね!
グレーテルのかまど 「“おジャ魔女どれみ”の愛(いと)しのトゥルビヨン」の誕生秘話を、関プロデューサー教えて!
“おジャ魔女どれみ”は、東映アニメーションが約15年ぶりに制作した、オリジナルの魔法少女アニメ作品です。
そのため、原作も何もない状態から、プロデューサーの関弘美、脚本家の山田隆司、アニメーション監督、演出家である佐藤順一の3人によって生み出されました。
対象年齢が小学校低学年であったことから、小学三年生以下の男女児童を対象にアンケート調査なども行ったといわれています。
子どもたちに、このアニメを見て、どんなことを感じてもらいたかったのか、また、子どもたちを通じて親や社会にどんなことを訴えたかったのでしょうか?
プロデューサーの関さんが「愛しのトゥルビヨン」が生れたエピソードを語ってくれました。
このスイーツのモデルとなったのは、“カジノ”と言うフランスのスイーツで、渦巻きが、カジノのルーレットを連想させることから、その名がついたと言われています
鮮やかなピンク色のドームの中には、ロールケーキの他に、フルーツのムースやババロアがぎっしり入っています。
関さんはこのスイーツを、大学生の頃に初めて見たそうです。そして、その時の衝撃は、今でも夢にでてくるくらいだとか。
いつかアニメにこのスイーツを登場させたい!と、最後の最後に作るスイーツは、これにしようと、関さんは、番組を作り始めた頃から思っていたそうです。
実際に、本物の魔女になるための最終課題として、このスイーツは登場しますが、見るからに作るのが大変そうです。
難しいことには、みんなで協力してチャレンジすることが大事だと、スイーツ作りを通して、子どもたちに示していたのかもしれません。
アニメでは、手の込んだケーキに“おジャ魔女どれみ”たちが大奮闘します。
まず、ラズベリーでスポンジを真っ赤に塗ってロールケーキを作り、それを細く切ります。
ロールケーキの断面がきれいに見えるように、ボールの縁に並べて置いて、その中にムースを何層にも流し込み、仕上げには、ドーム型の表面に真っ赤なジャムを塗ります。
何しろ、番組設定では、レシピがないのです。
“おジャ魔女どれみ”たちが、拠り所にしたのが、先々代の女王様の名前“トゥルビヨン”(渦巻き)でした。
「スイーツを作るときには、”誰のために作るのか”、を大事なテーマとしていた」と関さんは語っていました。
“おジャ魔女どれみ”たちが、先々代の女王に会った事は無いけれども、その人に食べてもらおうと、その人の心に寄り添い、思いを馳せて作ることで、人を感動させるおいしいスイーツが生れるというストーリーに、関さんの想いが込められていました。
関さんは、”魔法”について、こんなことを言っていました。
「ケーキは、私は”魔法”の塊みたいなものだと思っているんです。辛いことがあっても甘いものを食べると、ちょっとその瞬間、ほっと和んだりしますよね。”魔法”は特別なものではなくて、どんなに小さな事でも、”魔法”が隠れているって思って欲しいですね」
関さんの想いを知ったヘンゼルは、「手間も時間もかかるスイーツ作りも、食べる人の喜ぶ顔を想像すると、それすらも楽しくなってきて、食べる人のために心を込めて作ることが、何よりもおいしいお菓子を作る”魔法”なのかもしれない」と言っていました。
食べる時に、”魔法”がかかるのではなく、食べてもらう人のためにスイーツ作りをしているとことから、幸せという”魔法”が始まっているんですね。
そう思うと、幸せを感じる時間が長くなる!とより幸せを感じる私でした。
グレーテルのかまど 「“おジャ魔女どれみ”の愛(いと)しのトゥルビヨン」の原作レシピがいよいよ公開!
いよいよ「愛しのトゥルビヨン」のレシピです!!
すごーく手が混んでますが、それだけに、味わい深いスイーツなのではと思います。
味わいの決め手は、「キラキラピンクでベリー味(味わい)」です。
まず、ロールケーキから作っていきます。
ロールケーキから手作りも、もちろんですが、市販のものを使うものありかとは思います。
しかし、渦まきが小さいものでないと、その後工程の組み合わせができなくなるので、要注意です。
ロールケーキのスポンジつくりから。
1.まず、ホールに卵とグラニュー糖を混ぜて、湯煎で約40℃まで温めます。
2.次に、湯煎から外して、8の字がゆっくりかけるくらいまでよく泡立てます。
3.ふるった薄力粉を加えて、ゴムべらで切るように混ぜ、そこに熱い溶かしバターを加え、ムラなく混ぜます。(混ぜすぎに注意)
4.オーブンシートを敷いた天板に流し、平らにならして、220℃のオーブンで8分焼きます。
5.焼けたらすぐに天板からオーブンシートごとはずし、紙や布巾をかぶせて冷やします。
6.冷めたら、底生地用に直径11cmの円形に1枚カットし、余った生地の端を切り四角形にカットしておきます。
ロールケーキの中に入れるラズベリージャムを作ります。
市販のラズベリージャムを使うのももちろんOKです。
7.グラニュー糖と合わせておいたラズベリーを鍋に入れて、103~104℃まで煮詰め、ペクチンとグラニュー糖をよく混ぜてから振り入れ、1~2分ほど沸騰させます。
8.レモン汁を加えて、ボールに移し、氷水等で冷却します。
9.ステップ6の四角形のスポンジに、ラズベリージャムをうすく均等に塗ります。カステラを渦巻き状に巻いてロールケーキにしていきます。最初をしっかり織り込んでまいていくのがきれいに巻いていくポイントです。
10.丸めた生地が開いて戻らないように、ラップでくるみ、冷蔵庫(もしくは冷凍庫)で冷やし固めてなじませます。
11.丸めた生地が冷えた後、5mm程度の厚みにカットします。(しっかり冷やさないと薄くカットできません)
12.ボールの内側に5mmの厚みにカットしたロールケーキを張り付けていきます。ボールには事前にサランラップをしておくと、取り出しやすくなります。
次に、ケーキの中身のムースを2種類作ります。
1つ目は、ラズベリーのムースです。
卵を使ったコクのあるムースをつくります。
1.ボールに卵黄とグラニュー糖を入れ、泡だて器で白っぽくなるまで混ぜます。
2.鍋にラズベリーピュレを入れ、湯気が立つ程度まで温める。煮立たせないようにすることが大事です!
3.ラズベリーピュレから湯気が出てきたところで白っぽく泡立てた卵黄に入れて、よく混ぜます。
4.鍋に戻し、泡だて器でよく混ぜながら83℃まで温めます。それ以上に温めてしまうと、卵黄が固まってムースの口あたりが悪くなります。温度計で82℃になったら火を止めて、余熱で83℃になるようにします。
そこに、水で戻した板ゼラチンを入れてよく混ぜます。
※殺菌のため83℃に達するようにすることが大事です。
5.こし器でこしながらボールに移して、氷や水の入ったボールに当て、粗熱を取ります。人肌程度まで温度が下がったら、泡立てた生クリームと混ぜ合わせます。
6.ロールケーキの作り方のステップ12のボールにラズベリームースを型の半分まで入れます。ここで、ラズベリームースと白ワインのムースの間に入れるラズベリーのゼリーを作っていたら、凍ったままの状態で、蓋をするように平らにのせます。
7.冷蔵庫か冷凍庫で、ラズベリームースがある程度固まるまで冷やします。
2番目に、白ワインのムースを作ります。
8.ラズベリームースと同様に、ラズベリーを白ワインに 替えてムースを作る。
9.ラズベリームースを入れて冷やしたボールに、ふちより1cm低い所まで白ワインムースを流し入れ、円形に切ったスポンジ生地(ロールケーキのステップ6で作った)にラズベリージャムを薄く塗って、蓋をします。
10.冷凍庫で、しっかり固まるまでよく冷やします。
仕上げです。
1.鍋にナパージュ、水、ラズベリーピュレを入れ、泡だて器でよく混ぜながら沸騰させます。
2.ムースを入れた型を冷蔵庫(冷凍庫)から出し、渦巻状の模様が上になるようにケーキクーラーに置きます。
3.粗熱が取れたナパージュを上から掛けて、固まったらお皿に移します。
4.ムースが冷凍庫で固まっている場合は、食べる前に冷蔵庫で解凍します。
優しいピンクに輝く渦巻き模様が美しい「愛しのトゥルビヨン」。
ふんわりしっとりのロールケーキに、なめらかなラズベリーと白ワインのムースが、爽やかなハーモニーを醸し出します。
【事前準備】
・(前日)ジャム用の冷凍ラズベリーとグラニュー糖をボールに入れ、一晩おいて解凍する
・オーブンを220℃に温めておく
・オーブンシートを天板の大きさに切っておく
・薄力粉はふるっておく
・板ゼラチンは冷水で戻しておく【材料】
直径15cmのボール1台分<スポンジ生地>
卵 125gグラニュー糖 75g
薄力粉 75g
バター 25g<ラズベリーのジャム>(市販品でも可)
冷凍ラズベリー 200g
グラニュー糖 160g
ペクチン 3g
グラニュー糖 3g (ペクチンと混ぜる分)
レモン 5g<ラズベリーのゼリー>
ラズベリーピュレ 50g
グラニュー糖 8g
板ゼラチン 1g<ラズベリーのムース>
ラズベリーピュレ 125g
卵黄 3コ
グラニュー糖 50g
板ゼラチン 5g
生クリーム 140g (乳脂肪47%のもの)<白ワインムース>
白ワイン 66g
グラニュー糖 66g
卵黄 2コ
板ゼラチン 4g
生クリーム 166g 乳脂肪47%のもの<仕上げ用ナパージュ>
ナパージュ 200g 市販品(フルーツ等の艶出し用、加熱タイプ)
ラズベリーピュレ 75g
水 25g出典:NHK グレーテルのかまど~“おジャ魔女どれみ”の愛しのトゥルビヨン~より
愛しのトゥルビヨン
レシピ監修 エコール 辻 東京 小野 達也 先生
グレーテルのかまど 「“おジャ魔女どれみ”の愛(いと)しのトゥルビヨン」を観て
衝撃的な印象のスイーツ、「“おジャ魔女どれみ”の愛(いと)しのトゥルビヨン」に、関プロデューサーの伝えたいメッセージが、こんなに深く詰まっているとは思いませんでした。
このテレビアニメを見ていた少年少女は、今は20~30代くらいです。どんなことをこのアニメから感じていたのでしょうか?
そして、手間ひまかかるレシピと、ラズベリーの酸味が醸し出す味のハーモニーの魔法が、このスイーツの特別感を引き立て、ファンがより増えたように感じました。
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