2020年9月28日の「グレーテルのかまど」は、「林家正蔵のチョココロネ」。(初回放送:2019年10月21日)
林家正蔵(はやしや・しょうぞう)といえば、落語家、俳優、タレントと幅広く活動をされていますね。
その林家師匠の想い出の味が、チョココロネ。
師匠の面立ちを思い浮かべると、なんだか、失礼ながら、勝手に納得してしまう私です。
チョココロネと言えば、明治時代、次々と生まれた日本の菓子パンの1つで、菓子パンの鉄板ですよね。
どんなにオシャレで洗練されたチョコレートや、味わい深いパンが出てこようとも、あのフカフカの貝殻のような形のパン生地の中に、ねっとりしたチョコクリームがたっぷり入ったチョココロネが、突然食べたくなることがあります。
お手軽なお値段なので、思い立ったらすぐに食べられる安心感もありますし、結構食べ応えがあって、食べた後の満足感があるな、と私は個人的には思います。
カロリー的には罪悪感がなきにしもあらず、ですけど。。。
チョココロネの“コロネ”の語源は、角や角笛(ホルン)の意味で、フランス語で「Corne」スペイン語で「Cuerno」に由来するところから、日本語読みで「コロネ」と「コルネ」と様々な読み方になっていったと言われているようです。
グレーテルのかまど 林家正蔵のプロフィール
林家正蔵の本名は、海老名泰孝(えびな・やすたか)です。
1962年、東京生まれで、祖父が7代目林家正蔵、父親は、“爆笑王”と言われた林家三平という、落語界のサラブレットです。
前名は林家こぶ平、2005年に、林家正蔵を襲名し、古典落語を中心に活躍し、ますます活躍の場を広げています。
[芸 歴]
1978(昭和53)年4月 父、林家三平に入門 前座名「こぶ平」
1980(昭和55)年 三平没後、林家こん平門下へ
1981(昭和56)年 二ツ目昇進
1987(昭和62)年5月 真打昇進
2005(平成17)年3月 九代目「林家正蔵」を襲名
2010(平成22)年 落語協会常任理事に就任
2014(平成26)年 落語協会副会長に就任[受賞歴]
浅草芸能大賞奨励賞
国立花形演芸大賞古典落語金賞
浅草芸能大賞新人賞
2015(平成27)年 第70回文化庁芸術祭優秀賞
2017(平成29)年 第17回ビートたけしのエンターテインメント賞日本芸能特別賞
(出典:一般社団法人 落語協会オフィシャルサイト)
グレーテルのかまど 林家正蔵にとってのチョココロネとは?
林家正蔵は、チョココロネの魅力をこう語ります。
「チョココロネのぐるぐるとなっている、あの形がとっても素敵。いろんな形に似ているんだけども、どっか哲学があるの。どうやって食べるのかとか考えるし、とても魅力的なパンじゃないですかね」
もともと、チョココロネは、父親の林家三平の大好物だったのだとか。
そんな父親の好みを引き継いだ、九代目の林家正蔵は、飼い犬の名前にもつけてしまうほど、チョココロネを愛してやまないと言います。
林家正蔵にとって、チョココロネは、父親のような存在と言います。
「甘いし親しみやすいけれども、どこか他のパンと違った、自分ならではのスタイルがある。コロネパンのような落語家になってみたいなんて」
当時、父親の林家三平は忙しくて、正蔵は、テレビの中で父親と会うしかなかったと言います。
ところが、チョココロネを食べている時は、林家三平の髪の毛のちょっとくるくる巻いているところが、コロネパンのくるくる巻いているところに、ちょっと似ている気もして、父親と一緒に遊んでいるような気がしたそうです。
どこかで忙しい父親への憧れと寂しさと甘えが、チョココロネのほろ苦い甘さに繋がっているのかもしれないと言います。
チョココロネを通して父を感じていた正蔵は、いつしか落語家として父親と同じ道を歩き始めます。
父親の背中を追って入った落語の道では、憧れの父親を師匠と仰ぐ、厳しい修行の日々が始まりました。
正蔵は、三平にすごく可愛がられていましたが、弟子になってからは、誰よりも厳しくされたと言われています。
実の親が師匠という、伝統芸能の厳しさが感じられますね。
しかし、それからわずか2年後、師匠三平が亡くなります。
まだ54歳でした。
今でも命日には、家族や一門が、チョココロネを供えます。
グレーテルのかまど 林家正蔵のチョココロネの粋な食べ方
個性的な形をしたチョココロネは、食べ方だっていろいろです
食べる人それぞれに、さまざまなこだわりがあるようです。
チョコがたっぷり詰まった頭から、それとも尖ったほうの尻尾から?
そもそもどっちが頭なの?
街で聞いてみると、
⓵パンの尖った細い方から食べる
⓶チョコクリームを入れる口の太い方から食べる
③細い方のパンをちぎって太い方から見えているチョコクリームを付けて食べる
④チョコクリームが垂れないように、細い方のパンをちぎって太い方に詰めた上で、細い方から食べる
⑤いっぺんに頬張る などなど。
好きなものとなると、その食べ方ひとつもこだわって、譲れませんね!
林家正蔵は、チョココロネをどんな風に食べるのが、お好みなのでしょうか?
正蔵も家族の中で、それぞれ好みの食べ方があって、食べ方について大論争になったこともあったとか。
正蔵が言う、チョココロネの粋な食べ方とは?
「まずチョココロネを眺めます。コロネの形を愛で、クリームを見て甘さを想像して、尖ったほうのパンを味わいながら食べる」
みなさん、どこかしらか違う、個性的な食べ方を楽しんでいるようです。
グレーテルのかまど チョココロネの作り方
チョココロネを作っていきましょう。
すごくなじみのある菓子パンですが、巻き方1つで個性が出るおもしろいパンです。
「味わいの決め手」は、大人な甘さのハーモニーです。
ちょっぴり甘いパンに、甘さを抑えたクリーム、大人も楽しめるコロネを目指します。
パンを作ります。
まずは、パンの型作りから。
コロネの円錐型をつくります。
紙に円を書いて、それを4分の1に切り分け、円錐形にくるくるとまいて、ホチキスで止めます。
できたら、その周りをアルミホイルで巻きます。
これでコロネの型は完成です。
[材料]
<コロネ型>
厚紙 10枚
アルミホイル 適量
サラダ油(型に塗る用) 30ml
(出典:NHK グレーテルのかまど ~林家正蔵のチョココロネ~より
チョココロネ・抹茶コロネ レシピ監修 エコール 辻 東京 小野 達也 先生)
パン生地を作りましょう。
生地は、日本生まれのちょっと甘い菓子パン生地です。
・ボウルに小麦粉、上白糖、塩、スキムミルクを入れて、 泡だて器でよく混ぜます。
・水、生イースト、コンデンスミルク、卵を加え、手で混ぜ合わせます。粉気がなくなったら、作業台に出します。
・両手を大きく前後に動かして、手のひらで生地を作業台におしつけるようにこねます。
生地をひとつにまとめ、持ち上げて台にたたきつけ、 手前に軽く引っ張ってから向こう側に返す。
・生地の向きを90度変えます。
・作業台での作業を繰り返し、台にたたきつけながら 生地の表面がなめらかになるまでこねます。
パン生地を一部取り、指先で伸ばし、膜が出来るのが確認出来たら(グルテン膜)、 パン生地を台に広げます。
・生地に、バターとショートニングを加え、一緒にちぎるようにしながら、なじませます。
・両手を大きく前後に動かし、手のひらで生地を作業台に おしつけるようにしてこねる。 生地がまとまってきたら、作業台にたたきつけるようにこねます。
・生地を一部取って、指先で伸ばし、薄い膜が確認 出来ればこね上がりです。
パン生地を分割、成形します。
・パン生地を1個50グラムに分けて、丸めます。
・15分ほど常温で休ませます
・残りは、丸めず切り分けた状態でバットに並べて、表面が乾かないようにして、発酵が進まないように冷蔵庫に入れておきます。
・生地を50センチに伸ばしていきます。
掟: 折って折って折ってごろごろ
・まずは、生地を手で押して平らにして、ガス抜きをします。
・次に、生地の3分の1くらいのところで折り返し、反対側も同様にして3つ折にし、さらにそれを半分に折って、細長い形にします。
・両手を使って転がし、少しずつ左右に広げるように 約50cmまで伸ばしていきます。
・生地が縮むので、充分な長さに伸ばすことがポイントになります。
掟: くるくるは優しく
・パンの型の表面に、サラダ油を薄く塗ります。
・型の細いほうに生地をつけ、その端を押さえるように 巻いていきます。
・巻くときに、パンの膨らみ方に関係するので、生地をさらに伸ばさないように、やさしく巻きつけて行きます。
・最後の部分は、前に巻いた生地に押し付けます。
・巻き終わりの部分を 下にして天板に置きます。
・スチームを入れた30度のオーブンで、1時間発酵させます。
・その後、190度のオーブンで12分焼きます。
[材料]
10コ分
<パン生地>
小麦粉(強力粉) 200g
小麦粉(薄力粉) 50g
上白糖 62g
塩 3g
スキムミルク 4g
コンデンスミルク 12g
バター 12g
ショートニング 12g なければバター(同量)でも可。バターの風味が強くなります。
卵 45g
生イースト 10g
水 105g
(出典:NHK グレーテルのかまど ~林家正蔵のチョココロネ~より
チョココロネ・抹茶コロネ レシピ監修 エコール 辻 東京 小野 達也 先生)
チョコクリームをつくります。
コロネにはちょっと固めのクリームをつくります。
クリームに卵が入りません。コーンスターチでとろみをつけます。
・砂糖、コーンスターチ、ココアパウダーを混ぜます。
・次に、牛乳を人肌に温めます。
掟:気を抜かないでとろとろりん
・人肌に温まったら、火を止めて、粉類を全部入れ、再び火にかけてかき混ぜます。
人肌にするのは、粉類が溶けないからです。
・こげやすいので、気をぬかずにかき混ぜます。
・そこにスイートチョコレートを入れます。
・少し固くなってきたら、バターとブランデーを入れます。
・溶けたら、クリームをバットに流します。
・クリームに、空気が入らないように、サランラップを隙間なくかけます。
・粗熱を取った後に、冷蔵庫に入れます
次に、抹茶のクリームをつくります。
・砂糖、コーンスターチ、抹茶を混ぜます。
・牛乳と生クリームを人肌に温めます。
・混ぜた粉類を温めた牛乳に入れて、とろみがつくまで温めます。
・あとは、チョコクリーム同様に仕上げます。
[材料]
<チョコクリーム>
牛乳 500g
砂糖 110g
スイートチョコレート 60g
コーンスターチ 50g
ココアパウダー 30g
バター 20g
ブランデー 20ml<抹茶クリーム>
牛乳 250ml
生クリーム 250g 乳脂肪分42%のもの
砂糖 150g
抹茶パウダー 5g
コーンスターチ 50g
(出典:NHK グレーテルのかまど ~林家正蔵のチョココロネ~より
チョココロネ・抹茶コロネ レシピ監修 エコール 辻 東京 小野 達也 先生)
パンの型を抜いて、さめたら、クリームを詰めます。
冷えたクリームをボウルに移し、泡だて器やヘラでクリーム状になるまで、よく混ぜます。
絞り袋に入れ、焼き上がったパン生地に絞り入れます。
グレーテルのかまど 落語に出てくるお菓子たち
落語に登場するお菓子を、林家正蔵が紹介しました。
まずは題して『孝行糖(こうこうとう)』。
親孝行な与太郎が江戸の町を売り歩くのは、“孝行糖”と言う あめ。
“親を大事にしようとて あっ こしらえあげたる孝行糖
おいしいよ 食べてみな また売れたったら 嬉しいな“
賑やかで楽しい口上で、子供が親孝行になると評判になり、江戸の街で大人気。
賑やかすぎて、お屋敷の門番に怒られちゃいますけどね。
次は、お馴染みの『饅頭怖い(まんじゅうこわい)』。
まんじゅうが怖いと言っていた男が、影でパクパク食べていたのが、他でもないまんじゅう。
実はこの男、大の饅頭好き!
じゃぁ本当に怖いものが何かって?
あとは 濃いお茶が一杯 怖い。
おあとがよろしいようで。
グレーテルのかまど 「林家正蔵のチョココロネ」を観て
チョココロネ、どの世代にも人気があって、それぞれの思い出や、こだわりで愛されているチョココロネ。
明治のころに作られた菓子パンは、日本人の好みを存分に反映した強者なんですね。
クロワッサン生地や、フランスパン生地の中に、チョコクリームがはさまれているものもありますが、少し甘味のある、ふんわりもっちりのパン生地との相性が、やっぱり最高~!
いろいろな食べ方に挑戦するのも、また、おもしろいかもしれません。
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