グレーテルのかまど 懐かしい味の「たぬきケーキ」東京に限らず全国に出没!少し前まで絶滅危惧種?

2021年2月8日の「グレーテルのかまど」は、「全国に出没中!?たぬきケーキ」。

昭和の時代に、街のケーキ屋さんでよく見かけた「たぬきケーキ」。

一時期、絶滅の危機がありながらも、今また、復活してきているのだとか。

懐かしい親しみのある日本発のケーキ、「たぬきケーキ」とは、どんなケーキなのでしょうか?




グレーテルのかまど 「たぬきケーキ」とはどんなケーキ?

「たぬきケーキ」は、昭和40年代~50年代ごろに街のケーキ屋さんで、よく売られていた、当時、とても身近なケーキでした。

バタークリームで立体的に作られた“たぬき”の顔が、カップケーキ大のスポンジケーキの上に乗せられ、チョコレートがけされたケーキです。

バタークリームで作られた“たぬき”の頭は、指でつまんで削れた部分に、目鼻を描くので、ひとつひとつ顔の表情が違って、個性あふれる「たぬきケーキ」になります。

ケーキの陳列ケースに並べられた「たぬきケーキ」のかわいい目に、一斉に見つめられると、買わずにはいられない気持ちになります。

全国どこでも売られていた「たぬきケーキ」ですが、生クリームの台頭により、あまり見かけなくなりました。

神奈川県横浜にある創業48年の洋菓子店、「サンピア」の店主、加藤健一さんは、一度、「たサイトを表示ぬきケーキ」を作るのを辞めたと言います。

しかし、今は、また作っているのだとか。

なぜ、一度やめたのに、また作り始めたのでしょうか?

加藤さんは言います。
「お客さまの『もう一度食べたい』という要望が結構あったから。自分が、子どもに買い与える年代になって、(自分が)小さい頃によく買ってもらったケーキだという話題が出るようになって、復活したんです」

お客さまにとって、子どものころの美味しくて懐かしい、きっと、良い想い出がたくさん詰まったケーキだったんですね。


グレーテルのかまど 「たぬきケーキ」が誕生したのはいつ?誕生のいきさつは?

「たぬきケーキ」の魅力に取りつかれ、20年も全国を食べ歩き、情報を集めている人がいます。

『たぬきケーキ、絶滅しました“たぬきケーキめぐり番外編”』や、『たぬきケーキめぐり1~6』などの本まで出している、松本よしふみさんです。

すごい惚れようですね。
そして、全国の「たぬきケーキ」を食べ歩いて20年も情報を集めているなんて、「たぬきケーキ」は、本当に種類が多く、さまざまな魅力があるのだな、と思います。

この方によると、「たぬきケーキ」の原型は、戦前に発行された菓子職人向けの雑誌にあるとのことです。

製菓実験「原色版菓集」第一巻(1934年刊)に、「たぬきケーキ」らしいシルエットのケーキがあったのだとか。

説明書きには、 「はつかねずみ」、とあるのですが、レシピなどは、今の「たぬきケーキ」と ほぼ同じらしいのです。

戦後、ケーキの材料が出回るようになり、洋菓子作りの勉強会が、地方でも盛んにおこなわれるようになりました。
そして、和菓子職人たちも、洋菓子作りに果敢に挑戦したと言います。

「たぬきケーキ」は、このころ日本全国に広まったといわれています。

松本よしふみさんは、「たぬきケーキ」について、おもしろいことを言っています。
「『たぬきケーキ』の一番の特徴は、目と鼻を指でつまんで作るという行為。これは、和菓子の「練り切り」を作る技術が使われているんじゃないかと思います。だから、和菓子屋さんでも、とっつきやすかったんじゃないかと憶測があります。だから、「たぬきケーキ」は、日本の洋菓子といえるんではないかと思います」

また、なぜ、“たぬき”が洋菓子のモチーフに選ばれたのでしょうか?
ねずみ、とか、ねこや犬でも良かったのでは?

この疑問に、“たぬき”研究16年の、東京農工大学准教授、金子弥生さんが答えてくれました。

“たぬき”は、北海道から九州まで(沖縄を除く)ほぼ全域に生息し、人の前に意外と姿を現す動物だそうです。そして、人工的なものにとても興味を持って、ちょっかい(かじってみたり)をかけてくるのだとか。

“たぬき”が住んでいる地域の人は、そういう“たぬき”の行動や習性を見て知っているので、愛着を感じていた動物だったのではないかと言うのです。

そして、「たぬきケーキ」は、“たぬき”の目の周りにある模様をうまく表現していて、特徴をすごくよくつかんで、造形しているケーキだと思うと言っていました。

なるほどね。当時は“たぬき”は野生でありながら、馴染みのある親しみやすい動物だったのですね。

だから、「たぬきケーキ」は、懐かしく、親しみがわくケーキとして、全国に広がったのかもしれません。


グレーテルのかまど 「たぬきケーキ」は東京ではどこで買えるの?

東京では、「たぬきケーキ」が買えるお店は、今はどこにあるのでしょうか?

大田区にある「パティスリーコウゲツ」では、「ポンタケーキ」(@¥360税込)の名前で売られています。

住所  :東京都大田区仲六郷1-41-12
最寄駅 :京急本線「雑色駅」徒歩5分、JR・東急池上線・東急多摩川線「蒲田駅」から徒歩12分
電話番号:03-3732-0936

世田谷区にある「ルモンド」の「たぬきケーキ」は、四角いチョコレートケーキです。

 

住所  :東京都世田谷区中町5-21-9
最寄駅 :東急電鉄大井町線上野毛駅から946m
電話番号:03-3701-3433

現在の営業時間などは、事前にお店にお問合せの上で、行かれることをお勧めします。


グレーテルのかまど 「リモート的たぬきケーキまつり」で全国の「たぬきケーキ」を味わう!

江戸時代は 宿場町として栄えた町、岩手県岩泉にある、創業189年の「お菓子司 志たあめや」では、戦後は 洋菓子も作ってきました。

もちろん、「たぬきケーキ」は、今も作り続けています。

ここでは年に一度、「たぬきケーキ祭り」を開催してきました。
数年前からお店の経営を引き継いでいる、長女の園さんと次女の由樹さんが仕掛け人です。
どんなお祭りかというと、
「『たぬきケーキ』は、バタークリームのケーキが食べたくて来る人もいれば、マニアの人もいて、イベントをやっていくことで、みなさんに情報が届いて、『たぬきケーキ』ファンが増えていくかな、と。他のお店の『たぬきケーキ』と一緒に販売したら、おもしろいんじゃないか、という夢物語みたいなところから始まった」と言います。

コロナ禍の2020年は、「リモート的たぬきケーキまつり」と題して、全国のお店とコラボしました。

『たぬきケーキ』を自宅でも楽しめるように、北海道から長野まで、各地の『たぬきケーキ』をセットで販売、発送をしました。

全国のお店が手をつないで「たぬきケーキ」を盛り上げようとしています。

「お菓子司 志たあめや」でも、「妖怪アマビエに化けた たぬきのケーキ」を考案しました。

最近では、見る人を元気づけようと、全国で工夫を凝らした たぬきケーキが生まれているのだそうです。

長女の園さんと次女の由樹さんは、こう言います。
「(「たぬきケーキ」で)他のお店も、元気になっているのを見ているので、求めている人がいる限りは、「絶滅しちゃったね」と言われないようにしたい」

「たぬきケーキ」が、日本の元気を支えることに一役かっているのかもしれませんね。


 

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