情熱大陸 町中華「兆徳」(東京・本駒込)は玉子チャーハンと餃子と朱徳平の人情が最高!

2020年10月4日の「情熱大陸」は、行列のできる町中華「兆徳(ちょうとく)」(東京・本駒込)の店主、朱徳平(しゅ・とくへい)。

「兆徳」は、創業25年。

昼も夜も行列の絶えない、黄金色に輝く玉子チャーハンや、焼き餃子はもちろんのこと、揚げ餃子が絶品の中華料理の店です。

地元の老若男女に愛され、昭和平成の名人と言われた落語家の古今亭志ん朝や、人気俳優、有名企業の社長も、お忍びでやってくる大人気のお店なのです。

味は勿論のこと、材料の仕込みの丁寧さに加え、気取らない、愛嬌のある店主の人柄が人気の源なのかもしれません。

本場中国の味なのかと思いきや、朱徳平は、「うちの中華は中国の味ではなく、日本の味なんです」と言います。

どうして、日本の味なんでしょうか?

朱徳平とは、どんな人なのでしょうか?

情熱大陸 中華料理「兆徳」の場所は? 店主、朱徳平が日本に住もうと決めた理由は?

中華料理店「兆徳」の店主、朱徳平(しゅ・とくへい)は、1963年、中国・河南省生まれています。

父親は、中国の軍隊にあたる人民解放軍の幹部だったといいます。

朱は、地元の専門学校を卒業した後役人になり、地方の財務課長を努めるエリートでした。

生活に不満などはなかったと言います

転機は結婚でした。

妻の母親が、日本人だったことから、29年前に初めて日本にきました。

その時の体験は、衝撃的だったと言います。

スーパーに買い物に行った時、みんなが、好きなものを自分でとって買い物をしている光景を見て、驚いたといいます。

当時の中国ではありえませんでした。また、新幹線も地下鉄もありませんでした。

朱は言います。
「初めてご飯を食べたときに、びっくりした。大盛りを食べていて。そしておいしい。こんなおいしいお米を食べたことがなかった。もう30年前だけど、すごいなと思った」

「こんな国で暮らせたら」、と日本に住むことを決めたそうです。

しかし、言葉の壁があって、就ける仕事は限られました。
ようやく見つけた中華料理店で、アルバイトを始めます。
出前や皿洗い、料理もイチから覚えたそうです。

28年前には、子供が生まれ、家族3人で4畳半に住んでいたといいます。

家賃25,000円で、風呂なしの共同トイレでした。
仕事が終わると、銭湯に行ってシャワー浴び、お風呂に入って、帰って寝る生活が続きました。

そして、1995年、なけなしの蓄えと借金を注ぎ込み、「兆徳」を開店しました。

本場での料理人経験がない朱が店を持ったことに、周囲は先行きを危ぶみましたが、朱はあえて日本人が好む味に的を絞り、試作を繰り返していきました。

そして、これが大当たりするのです。

考案した揚げ餃子は、砂糖、酢、醤油、スープ、レモンの甘酢餡をかけるいわば和風中華で、いまや店の名物になっています。
「日本人みんなが好きな味」、と朱はいいます。

日本に骨をうずめるつもりで、祖国を離れた朱の覚悟が、この味を作っていったのかもしれません。

番組では、お店のオープンの5分前に、店先にできたお客の行列を写していました。
そして、11:30のオープンと同時に、店は満席。

朱は、調理に追われながらも、嬉しそうに、言っていました。

「お客がいっぱい。一番楽しいです。疲れてもがんばりますよ!」

朱の生き生きとした表情に、やりがいが満ち溢れていると感じました。

朱徳平のお店「兆徳」は、通りの角のわかりやすいところに、あります。
行列必至ですので、時間を作って、是非行ってみたいですね。

店名兆徳(ちょうとく)
住所東京都文京区向丘1-10-5
電話03-5684-5650
アクセス■駅からのアクセス

東京メトロ南北線 / 本駒込駅(出入口1) 徒歩2分(130m)

都営三田線 / 白山駅(A3) 徒歩3分(240m)

東京メトロ南北線 / 東大前駅(出入口2) 徒歩9分(650m)

営業時間【平日】 11:30~14:30、17:30~23:00
【土日祝】 11:30~14:30、17:30~22:00
※新型コロナウイルスの影響により、営業時間・定休日等が記載と異なる場合がございます。ご来店時は、事前に店舗へご確認をお願いします。
定休日不定休
予算ランチ   ~1000円

ディナー  ~2000円

カード使用不可



情熱大陸 中華料理「兆徳」の美味しさの秘訣1、丁寧な仕込みと材料選び

「兆徳」の味わいの秘訣は、どこにあるのでしょうか?

秘訣のひとつは、作り置きをせずに、毎日はける分だけ仕込むという、手間を惜しまないところです。

毎朝8時、開店まで3時間半。

朱徳平は、誰よりも早く店に出て、まず最初に、料理の要、スープの仕込みを始めます。

丹念に何度も鶏がらを洗って、雑味を取り除いていきます。

そして、大鍋に、鶏がら、豚バラ、鶏丸ごと、煮干しなどを全部入れて煮込みます。

チャーハンに使う米は、富山産のコシヒカリです。米研ぎひとつにも、時間をかけます。
まるで米粒1つ1つを磨きあげるように力強く研いで、あえてとぎ汁が透明になるまで5~6回繰り返し洗います。

全部きれい洗うと、チャーハンがパラパラになるのだそうです。

仕込みの手間をいとわない一方で、無駄を省く工夫もあり、それが複雑で微妙な味を生んでいます。

例えばチャーシューは、バラ肉と一緒に煮込むことで旨味を出し、チャーシューを煮た醤油は、餃子や、ラーメン、料理に使ったりするのだそうです。

醤油チャーハンに、このチャーシューを煮た醤油使うと、豚の味にすごく香りが出てきて美味しいといいます。

餃子は、具材を厳選していました。

具材のキャベツは、最も柔らかいものを、季節に応じて産地を変えて仕入れています。
9月は岩手産、8月は群馬産、その前は千葉、その前は東京、神奈川・・・

その為、時にキャベツ1玉500円にもなることがあるそうです。

具材のキャベツは、まずはさっとゆでます。これにより青臭さが消え、より柔らかく甘くなるのだそうです。

ネギも生では使いません。あらかじめ、たっぷりのラードで炒めて、香りを引き出しておきます。

餃子の味を整える上で欠かせないのが、チャーシューとバラ肉の煮汁と、チャーシューを煮た時の醤油ダレになります。

お昼を食べにやってくるサラリーマンを気遣って、餃子にニンニクは使わないのだとか。

それでも、具材やそれぞれに施された味で、充分にパンチを効かせた味になると言います。

コストと手間をかけながら1皿6個で450円の値段は、創業以来変わりません。

朱はいいます。
「コストの事は考えてない。野菜は高くなったり安くなったりするし。食べたら、おいしいでいいよ。そういうもんだよ」

純粋にお客の「美味しい!」という笑顔のために、料理をしている人なんだな、と感動しました。


情熱大陸 中華料理「兆徳」の美味しさの秘訣2、朱徳平の心意気とお客サービス!

朱は、中国からやってきて29年、慣れない日本で中華料理店を経営しながらいつも自分に言い聞かせている言葉があるといいます。
「頑張って、負けないで」
そして、「もっともっとおいしいものを作ろう」といつも考えているといいます。

仕事を終えるのは、午後11時50分。

朝から働きづめですが、朱はこう言います。
「こういう仕事をしているから、一生懸命やるしかないよ。他には何もできないから、そういうもんよ」

あっさりと言うその覚悟と心意気が、心と身体に馴染んでいるというか、全く無理なく自然に穏やかに聞こえるのが、不思議なくらいです。

お店を訪れる客は多彩で、家族連れもいれば、学校帰りの女子高校生もいます。
お店のお客は、口々にこう言っていました。
「もう、ただおいしい」
「チャーハンのご飯がパラパラして、卵がふわふわ」
「町中華の中ではトップじゃないですかね」
「学生の頃からチャーハンとか餃子とかを食べてた」

今は亡き落語家、名人と謳われた3代目古今亭志ん朝もこう言ったといいます。
「あちこちで食べてみたけど、ここが1番」

朱は、お客の好みや、店に来るタイミングさえも覚えていると言います。

また、朱は、少し手のあいた時間に、テイクアウトの料理を取りに来ていなかった、ご近所の常連客に、直接渡しに行ったりもしていました。

この気遣いや、人情が、ひと昔前の下町風景を思わせます。

ある時は、店の前で、道に迷った人に、地下鉄の駅の場所を丁寧に教えていたかと思うと、店内にマスクを忘れた客を呼び止め、マスクを手渡す、常に客を家族のように思いやる、朱がいました。

何ともアットホーム。
お店の中は、お客と朱が気兼ねなく言葉を交わし合い、笑いの絶えない家庭的な雰囲気に溢れています。

創業時からの常連が、朱のことを本当にすごい人だと、話をしてくれました。
「一番びっくりしたのは、東日本大震災の時。常連で、被災地出身の方がいらして、何日も家族と連絡が取れなくて心配をしていた。そのご家族は、ご無事だったんですけど、朱さんは、衣装ケースのように大きなタッパー2つに、チャーハンを作って渡していて」

本当に、人の苦労や喜びを知っていて、それに寄り添おうということに徹している人なのだな、と感動します。

東京都の時短営業要請が解除になった9月16日に、朱は、店の閉店時刻を従来通りの11時に戻しました。

テイクアウトは増えましたが、夜10時を過ぎても、以前のような夜の賑わいは戻ってきてはいません。

「難しいねぇ」と朱は言いますが、“人生照る日もあれば、曇る日もある”ということを熟知しているからなのでしょうか。いちいち気に病むことはなく、悩みながらも、今を100%生きることに注力している底力を感じました。

朱は、従業員のことを家族みたいなものと言います。
家族ではないから、家族みたいに感じている、と。

10年厨房で働いている張さんがマンションを購入の、銀行ローンを組む時には、店を休みにして、一緒に銀行に付き添います。

また、年1度は、授業員全員を連れて、社員旅行を敢行しているのだとか。
従業員のことも、客のことも、人を大切にしている朱の人柄の大きさに、大人(たいじん)の貫禄を感じました。

情熱大陸 「行列のできる町中華「兆徳(ちょうとく)」(東京・本駒込)の店主、朱徳平(しゅ・とくへい)」を観て

日本に憧れて来日し、どんなに苦労しても、苦労の後もみせず、穏やかな笑いで周りを力づける町中華の主に、“生きる”、の極意を教えていただいたように感じました。

ただできること、あることで100%の力を出し切る、そして周りへの感謝と心遣いを忘れない、朱徳平は、本当にすてきな人だなと、しみじみ思いました。


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