情熱大陸 大坪誠(アスカネット)空中タッチパネルを商品化!その天才の素顔とは?

2020年10月25日の「情熱大陸」は、大坪まこと(おおつぼ・まこと)「感染防止!空中ディスプレイ、非接触システムの未来を呼ぶ男」です。

コロナ禍にあって、感染防止の観点からも、世界的に大きな注目を集めている空中ディスプレイ技術。

電子マネーの普及や、署名の簡略化などで、画面ディスプレイに触れる機会が増え、便利になった反面、コロナ渦で、画面に触れることが気になったり、小さな画面内に、たくさんの選択項目があって見えづらいなど、不便もあります。

こんな状態の救世主が、空中ディスプレイ。

もはや、この技術は、未来予想図に出てくる技術ではなくて、現実に商品化されるものになっているのですね。

すごいことです。

そして、当たり前ですが、この技術は人間が開発していて、その開発者が、大坪誠(おおつぼ・まこと)。

大坪が設計した特殊な「3Dプレート」を使えば、空中に、自在に映像を浮かび上がらせることが出来るのだそうです。

彼が、空中ディスプレイを思いついたのは、新幹線に乗車中に、車窓を流れる景色を観ながら、別の場所で見ることが出来たら楽しいだろうと考えたことが発端だったといいます。

確かに、そんなことを考える人は、他にもいるとは思います。
SFのように、イメージをふくらませて想像するのは、楽しいことですし。

しかし、それを現実化して、商品化までしてしまうのは、物凄いことだと思います。

そんな天才が、日本にいるなんて!

コロナの感染防止の観点からも、空中ディスプレイ技術を、今後どう発展させていくのか、興味がつきません。


情熱大陸 大坪誠のプロフィールと経歴

大坪誠(おおつぼ・まこと)は、1955年長崎県五島市に生まれています。

小さい頃は、「鉄腕アトム」に熱中し、”お茶の水博士”に憧れたのだそうです。

父親が技術者だったことに影響を受けて、大学は技術系に進み、鉄鋼関係エンジニアリング会社で、製鉄ラインの画像診断を任されたことが、後に、空中映像にのめり込む下地になったと言います。

現在のプレートの雛形を作り上げ、20年前に3D関係のベンチャーを起業し、空中結像技術の開発を開始しました。

何の技術の開発なのかが、さっぱり分かりませんよね。

空中結像技術、つまり、空中ディスプレイ技術は、スクリーンの無い空中に映像を表示させることです。

これは、光の反射を利用することで、スクリーンも何もない空中で、映像を表示させていくのだそうです。

この技術により、映像表示にスクリーンが不要なので、映像が表示される周辺に、人や物を設置して、実体と映像がシームレスに重なりあう演出が、可能になるのだそうです。

起業して、経営にも携わることになりましたが、ニーズを開拓できず、5年後に倒産してしまいます。

その後、2011年に、この技術の実用化のために、広島で新たな技術開発に意欲的に取り組もうとしていた、㈱アスカネット※に招かれ、入社しました。

エアリアルイメージング事業部 研究開発・企画室を任され(でも室員は、大坪1人なのですが)、空中ディスプレイの実用化のために、準備をし続けています。

経歴が、空中ディスプレイ一筋で貫徹されていて、ブレがない、本当に気持ちの良いほどです。

こんな人生もあるのですね。

※株式会社アスカネット
■会社概要
会社名 株式会社アスカネット - Asukanet Co., Ltd.
設立 1995年7月6日
資本金 490,300千円
本社所在地 〒731-0138 広島県広島市安佐南区祇園3-28-14
■経営理念
思いをかたちに
私たちアスカネットは、幼いころの夢、思い浮かぶ未来、非現実的とも思える製品やビジネスモデルを独自の技術や想像力で「かたち」にすることを使命として社会に貢献してまいります。

(出典:株式会社アスカネット WEBサイト)



情熱大陸 空中ディスプレイ(空中タッチパネル)の開発のきっかけ

大坪が、空中ディスプレイの開発に着手して、20年余りが経ちますが、開発のきっかけは、何だったのでしょうか?

スター・ウォーズのレイア姫のようなものができないか、と思ったのが研究の始まりと、大坪は言っていました。

着想は、SF映画だったのですね。

人が想像することは、実現可能なことだ、というようなことを、以前どこかで聞いたことがありますが、まさに、SFの世界が現実に引き起きてきたのですね。

大坪は、自身で起業をした時に、経営に失敗し倒産して、全てを失っていますが、その時もこの研究を辞めようとは思わなかったと言います。
「空中ディスプレイは、世の中にないじゃないですか。もしそれが実現できたら、とワクワク感がありますよね。空中ディスプレイを見た人が、驚くところを横から眺めたい」

どうして、こんなに強い思いを持ち続けていられるのでしょうか?

大坪の部屋にある本の中に、幕末、明治維新に関わるものが多くありました。
「妙に明治維新に惹かれた」と、大坪は言います。

番組スタッフが、「どんなところに惹かれたんですか?」と尋ねると、
「志があれば、世界を変えることができる、そこに惹かれた」と。

自分が世界を変えるんだ!という熱い想いが、大坪の原動力なのだな、と思いました。


情熱大陸 空中ディスプレイ(空中タッチパネル)の仕組みは?

SFの世界を現実の世界に引き寄せたのは、大坪が考案し設計した、半透明の特殊なプレート、3Dプレートと呼ばれるものです。

これが、空中ディスプレイを可能にするのです。

空中ディスプレイの構造は、とてもシンプルだと大坪は説明を始めました。
「光が1回ずつ反射して抜けていくという原理原則が成り立てば、入射角と透過反射角が等しいと、ここに光がいくかな、と直感したんですね。作る前から、こうなるはずだ、と(思って)。誰が見てもそう思いますよね。」

ここでは、大坪がその説明に使った図を載せていないので、わからない、と、読まれている方は思うかもしれませんが、TVに写ったホワイトボードに描かれた図を見ていても、サッパリ分かりませんでした。

ええっ?何のこと?
天才と言われる人が、さらりと言うことは、凡人には風が吹いた?みたいな感じにしか思えないのです。悲しいかな。。。

しかし、番組は、凡人にも分かるように、別に説明をしてくれていました。

まず、人間の目は、物体から拡散される光を捉えて、形や位置を把握する仕組みになっています。

しかし、大坪が開発した半透明のプレートは、光の角度を変えることができるので、物体から拡散される光線の向きを変え、別の場所に物体の形を映しだすことが可能になります。

その結果、人は、あるはずのない空中(別の場所に映しだされた)に、物体があるかのように感じるのだそうです。

空中タッチパネルの仕組みも放映されました。

ある装置の中に埋め込まれたモニター(数字パネル)画像が、半透明のプレートの反対側の空中に浮かび上がり、空中に映しだされた数字パネルに触れると、その指先の位置を赤外線センサーが探知して、装置に伝える仕組みになっているのです。

光線を操作して、人の眼に錯覚を起こさせるこの仕組みを見ている内に、自分自身がSFの世界に吸い込まれたような心地がしました。


情熱大陸 空中ディスプレイ(空中タッチパネル)はどんなことに使えるの?

空中ディスプレイの技術を使えば、直接画面に触れることなく、映像を通じて機器の操作もできます。

非接触用途と言えば、様々な分野での利用が考えられると言います。

目下、空中映像の技術を生かした、様々な装置の商品化を急いでいます。

例えば、ATM(automatic teller machine)、券売機、受付機。

また、本体に触れることなく、音楽やビデオなど自由に再生できるジュークボックスなども。あ

大坪は言います。「商品としては問題ない。やっと商品らしくなってきたね。昔はハリボテだった」

すでに中国では、大坪のシステムを採用したエレベーターも登場し始めています。

また、国内でも、空中映像システムを、アンケート調査に活用している企業もあります。

いつも未来を思い描く大坪が、巨大なプレートができて、空中に映像を浮かべられたら、と奇想天外なアイデアを教えてくれました。

動物園で、虎とかライオンの檻の前に、特殊なプレートを置くと、虎やライオンがこちら側に飛び出てくるように見せることができるのだと。

可能性は、まだまだ広がりそうですね。


情熱大陸 空中ディスプレイ開発者、大坪の情熱と苦労

周囲から天才と呼ばれる男、大坪には、天才ならではの苦労があります。

彼は、アイデアを守るため、月に1度は特許事務所に通い、開発段階から、細かな技術ひとつひとつに特許を出願してきていました。

恐れているのは、知的財産の海外流出です。

中国に真似されるかもしれない、あるいは日本国内で、と思うと、眠れないと言います。

研究に没頭していれば良い、というわけではないのですね。
せっかくの苦労が水の泡になってしまうので、こちらにも、細心の注意が必要ですね。

特許事務所とは、30年来の付き合いになるといいます。

特許事務所の代表は、大坪のことをこう言っていました。
「いつも奇想天外な、思いつかないようなグッドアイディアを持ってきて。特許も100件位は出した」

理論的には可能なことも、実際に商品として作り上げるとなれば、困難がつきまとってきます。

プレートの量産化に向けて、試行錯誤が繰り返されていました。

前例がないので、製造のノウハウはない、でも、精度の高いプレートを安く作るには、どうしたらよいのかを考える必要があるなど、まだ多くが、手探りの状態だと言います。

製造部門には、光学技術のエキスパートが集められています。

競争の激しい分野にあって、人材は宝だから、TVでは全員、顔出しができない状態でした。

みんなすごい方たちなのですね。

プレートのサンプルをチェックする大坪は、口調こそ穏やかだったが、評価は辛口でした。
「ちょっと見てもらっていいですか。こうやって動かすときにクリッピング(収縮して見える)しているんです」

空中映像をゆがめてしまうために、わずか数ミクロンの誤差も、許されません。

商品の普及には、完成度の高さが必要で、精度こそが、大坪の生命線なのです。

大坪のもとには、ユーザから相談が持ち込まれることも多く、この時は、空中映像システムを、アンケート調査で活用している企業の社員が訪ねてきていました。

空中タッチパネルが、新型コロナの対策に役立っていると言います。

しかし、アンケート項目が多くなった場合、小さい画面では、情報過多になってしまうのだそうです。

モニターサイズが大型に改善されると、できることの幅が広がると思うとの指摘がありました。

画面の大型化は、まさに今、直面している壁でした。

画面を大きくするには、プレート自体を大きくしなければなりません。

その為に、光学機器の製造で、高い実績を持つ工場と組み、方法を模索していました。

従来の21センチ角から、一回り大きい26センチ角のプレートにする、少しのサイズ変更でも、繊細な構造持つプレートにおいては、至難の業なのです。

今までも、様々な難題をクリアしてきた製造担当者は、大坪が求めるレベルの高さを知っています。

現行品の21センチ角を製造するのも、実現までは茨の道でした。

商品化前のプレートは、映像がボケたり、ゆがんでいたと言います。

実際、現行品は、追随する他社のものに比べ、明るさと鮮明さで、だんぜん優位に立つ、空中映像を実現しています。

一片を5センチずつ広げるには、製造工程からの見直しが必要でした。

試作品第1号の完成までに、およそ半年がかかりました。

試作品の確認のために、大坪は、工場のクリーンルームに向かいました。

詳細は企業秘密でしたが、プレートを加工するときの温度管理を、従来のやり方から、根本的に改めて試作品を製造したようでした。

現行品と、サイズアップした試作品とを、大坪は子細に見比べます。
「これはすごい。普通できない、ありえない。70点位」

大坪は、感嘆の声をあげながら、評価は辛口でした。

歪みはなかったのですが、鮮明さが足りないとのこと。

製造担当者が、大坪の精密さと妥協を許さない姿勢について、こう言っていました。
「今までやっていたメーカーが、難しくてギブアップしたんですよ。そんなわけで、なかなかこれだけの加工するところがないですから」

大坪が「しぃっ」と人差し指を立てます。

プロフェッショナルどうしの会話は、お互い凌ぎを削る思いをしているだろうに、意外なほどさっぱりと余裕ある会話に聞こえるのが、不思議です。

きっと、満足のいく仕上がりが、そう遠くない未来に、できそうに思いました。

大坪の特性は、探求心が豊かで、妥協を許さずとことん考え、実行するところだと言います。

まさに、今の研究をするのに、ふさわしい資質を持っていたのではないかと思います。


情熱大陸 空中ディスプレイ開発者、大坪のお茶目な人となり

世界が感心を持つ開発をしている大坪について、会社の同僚は、こんな風に言っていました。
「大坪さんは熱い男なので、質問したこととは違うことが、10返ってくる感じ。しゃべっているうちに、新しいアイデアが生まれて、また新しいものにつながっていくって言う感じですね」

「最初は何を言っているのか、わからなくて。本当に宇宙人だろう、と、誰も会話ができなかったぐらいでした」

世界を変えるような開発をしている人の思考は、なかなか分からないものなのかもしれません。

それと知ってか、大坪は、7年間通っている小料理屋では、仕事の話を口にしたことが、1度もないと言います。

取材陣を引き連れて店に行った大坪は、驚く店主に、初めて自分の仕事の話をし始めました。
「タッチパネルが見えているんです。目で見たらそこに見えるけど、でもそれに触ろうとしたら、何もない・・・」

店主は案の定「え?どういうことですか?」と聞き返していました。

当然の反応です。
いきなり言われても、サッパリ分かりません。

そんな常人離れの思考回路で、天才と言われる大坪ですが、意外なことに、スマホの扱いは不得手なのです。
「これなんだけどね。新幹線でスマホをいじったら、ブラウザに戻らんことになってしまった。どうやったら戻るのかなと思って」

隣のセクションの女性に質問をすると、女性は、いとも簡単にスマホの画面を元に戻す方法を教えてくれました。

先端技術の開発と、スマホの動作が、全く異なることに、私はむしろ驚いてしまいます。
便利さを追求する技術は、全部一緒のように思っていたからです。

社内では、大坪のこの意外性が人気なのだとか。

そして、出張はもっぱら新幹線を使うと言います。
なぜなら、飛行機が怖いからなのだそうです。
「10,000メートル上空を飛んでいる恐怖よりも、時間がかかるけど安全な環境で、ゆっくり考えられるのがありがたい」

まぁ、私も飛行機が怖いので、この気持ちは分かるのですが、慎重派なのでしょうか?

しかし、私とは全く違うのは、新幹線の車窓を眺めている時に、突如、光を折り曲げるプレートがひらめいたりするのです。

「ガラス越しの風景を、カメラなどを使わずに、別の場所に再現できたら面白いだろうな」と。
では、どうやる???と考えだすと、止まらなくなるのだそうです。
本人曰く、「思考実験です」

いつも考え続けている、ということのようです。

大坪には、退屈と言う言葉は、ないのかもしれません。

そして、仕事を離れれば、大坪は、熱狂的な広島カープファン。

カープが勝つと、スポーツ誌を購入し、8時半の始業前のひと時を楽しみます。

負けた時は、スポーツ紙は絶対に買わないと言います。

自宅の玄関マットが、広島カープのものだったのが印象的でした。

たまの気晴らしは、バッティングセンターに行くことです。

135kmの球を、カープの菊池涼介になりきって、バットを振ります。
「ボールが当たる時は、音が全部消えて、もう球しか見えないですね。そういう時に、フッとインパクトを決めてやると(飛ぶんです)。理屈はよくわからないんですけど」

何も考えず、ただ目の前のことに集中する、バットを振る時にさえ、大坪の生き方が現れているように感じました。


情熱大陸 「大坪誠(空中ディスプレイ開発者)感染防止!空中ディスプレイ非接触システムの未来を呼ぶ男」を観て

“志があれば、世界を変えることができる”この言葉に導かれて、人生をワクワクと情熱的に生きる大坪の姿に、圧倒されました。

そして、その気概のせいか、姿も考え方も若々しい、と感じました。

人生を情熱的に生き続ける、どんな感じなのでしょうか?



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