グレーテルのかまど「ぶどうのスキアッチャータ」はガリレオも食べたイタリア・トスカーナのスイーツ

2020年10月19日の「グレーテルのかまど」は、「ガリレオ・ガリレイのスキアッチャータ」。

ガリレオ・ガリレイといえば、400年以上も前に、イタリアのトスカーナ地方のピサに生まれた、物理学者であり天文学者でもあります。

ピサの斜塔から大小二つの物体を同時に落として「落体の法則」を発見し、地球は太陽の周りを回っているという「地動説」を望遠鏡を使った地道な観測によって実証するなど、その業績から、「近代科学の父」とも、「天文学の父」とも呼ばれています。

2度の宗教裁判で有罪となりながらも、「それでも地球は回っている」と言ったと伝えられているのは有名ですね。

有罪となったガリレオは、フィレンツェ郊外に幽閉されました。

その時にガリレオが、心の癒やしとしたのが、ブドウを育て、世話をすることだったと言います。

ぶどうが旬な時期に、トスカーナ地方のスーパーやお菓子屋で目にするのは、伝統菓子の「ぶどうのスキアッチャータ」です。

ガリレオの好物として語り継がれ、「ガリレオ風スキアッチャータ (Schiacciata di Galileo Galilei)」と言われ、トスカーナの人たちに親しまれています。




グレーテルのかまど ”スキアッチャータ”は”フォカッチャ”と同じパンなの?

スキアッチャータとは、イタリア語の「schiacciare=押しつぶす」から来ていて、一般的には生地を伸ばした後に指でいくつも凹みを作り、オリーブオイルと粒の岩塩を振りかけ、焼き上げる、平たいパンのことをいいます。

ん?スイーツではなくて、パンなのね。

これは、フォカッチャとは違うの?と思いましたが、トスカーナ地方では、同義で使われているようなのです。

そして、オリーブや、トマト、チーズなどが入っている食事パンがベースなのですが、スキアッチャータ・アッラ・フィオレンティーナ(フィレンツェ風スキアッチャータ)と呼ばれるものは、ドルチェなのだとか。

カーニヴァル用のドルチェを起源にしているようですが、パンの中に、クリームなどが挟まっているのだそうです。

どっしりとしたドルチェのようですね。
食べ応えがあって、思う存分味わいを楽しめそう!


グレーテルのかまど ガリレオが愛したトスカーナの「ぶどうのスキアッチャータ」には“カナイオーロ”(ぶどうの品種)がぴったり!

ガリレオは、2回も宗教裁判にかけられて有罪になり、終身刑を言い渡されます。

そして、トスカーナ州フィレンツェ郊外のアルチェトリの丘にある家に幽閉されます。

ガリレオは、フィレンツェの街に戻る事は許されず、外出も制限されていました。

庭の片隅には、小さなぶどう畑があり、今もガリレオが育てていたものと、同じ品種のぶどうが植えられています。

ジェルゴーフィリ協会員のダニエレ・ヴェルガリさんは、言います。
「ガリレオはワインに興味があり、ぶどう栽培を行っていました。ワインの醸造も行っていたようです」

ガリレオは、毎晩ワインと「ぶどうのスキアッチャータ」を食べていたと、トスカーナの人たちは伝え聞いています。

キッチンも再現されており、ガリレオは、ここでスキアッチャータを作ることも、あったのでしょうか?

ガリレオが生まれ育ったトスカーナ州は、キャンティを始めとするワインの名産地です。

キャンティにも使われる、小粒でちょっと酸味のある“カナイオーロ”という品種のぶどうが、「ぶどうのスキアッチャータ」には使われます。

9月から10月は、ぶどうの収穫期。

収穫したぶどうの大半は、ワイン造りに使われます。

そして、この時期ならではの、トスカーナの人たちの特別な楽しみが、「ぶどうのスキアッチャータ(stiacciata con l’uva)」を作って味わうことなのです!

トスカーナの伝統的な「ぶどうのスキアッチャータ」の作り方が、番組で紹介されました。

まずは、生地をこねていきます。

イタリアのマンマの生地のこね方は、迫力があります。

大物の洗濯物を手洗いしているかのように、どんどんしごいていき、あっと言う間に
生地を馴染ませ、ひとまとまめにしてしまいました。

生地をまとめたら、布巾をかけて発酵させます。

生地が発酵したら、天板に広げ、手で押しつぶしていきます。

ここから、スキアッチャータ(押しつぶす/schiacciare)という名前になりました。

指で、生地の表面をでこぼこにして、そこに、オリーブオイルと、砂糖をまぶしたぶどうをたっぷり入れていきます。

仕上げには、香り豊かなローズマリーを加えます。

収穫されたばかりのぶどうを、ふんだんに使ったスキアッチャータは、トスカーナの人にとって、秋の到来を感じさせ、幸せな気持ちにさせてくれるものなのだそうです。


グレーテルのかまど ガリレオの功績と、苦難に満ちた人生を信念と情熱で生き抜いたことを誇りに思うトスカーナの人々

終身刑を言い渡され、幽閉されていたガリレオは、晩年にも苦難が続きました。

父を支え続けていた長女ヴィルジニアが、33歳の若さで、この世を去ったのです。ガリレオ70歳の時でした。

その3年後、長年の研究で目を酷使した影響からか、ガリレオは失明してしまいます。

立て続けに起きた不幸で、ガリレオは、どんなにか辛かっただろうと思うのですが、生涯、科学に対する情熱を失う事はなかったと言います。

目が見えなくなってからも、弟子たちによる口述筆記で、書物を発表しています。

この時の様子が、フィレンツェ自然史博物館の天井画に残されています。

ガリレオは、1642年77歳でこの世を去りました。

自分のためだけではなく、世のため、未来のために、ガリレオは生涯を捧げたとも言えるのではないでしょうか?

生涯を、情熱を持って生き抜くことのパワフルさに感動します。

ガリレオは、死後95年経って、フィレンツェの「サンタ・クローチェ」教会に埋葬されました。

そして1992年、ローマ法王ヨハネパウロ2世は、ガリレオ裁判が間違いであったことを認定しました。

それは、ガリレオの死後350年もの月日が経ってからのことでした。

偉大な功績にもかかわらず、生前には報われることのなかったガリレオの人生ですが、トスカーナの人たちは、彼の信念と情熱、未来を見据えて行動し続けたことを、称え、誇りに思っています。

「ぶどうのスキアッチャータ」は「ガリレオ風スキアッチャータ」とも呼ばれていますが、トスカーナの人たちが、特別な思いとともに、大切にしている食べ物なのだな、と感じました。


グレーテルのかまど 「ガリレオ風ぶどうのスキアッチャータ」をデラウェア(ぶどうの品種)で作ってみましょう!

ぶとうをふんだんに使った「ぶどうのスキアッチャータ」を作りましょう!

味わいの決め手は、“あふれるぶどうの味わい”です。

【事前準備】
各材料を軽量したら、強力粉をふるって、オーブンを180℃に温めておきます。

まずは、生地から作っていきます。

【生地】
1 強力粉、塩、グラニュー糖を混ぜます。

2 別のボウルに、ぬるま湯にインスタント・ドライ・イーストを入れて、泡だて器で混ぜます。
この生地には、イーストをたっぷり使います。そのため、発酵が進むのが早いので、手軽につくれます!

3 イーストをステップ1の粉類にいれます。

4 ここに、エキストラバージンオリーブ油を合わせ、ボウルの中で混ぜます。

5 粉気がなくなったら、台の上に出して手でこねていきます

6 生地がまとまってきたら、台に叩きつけながらこねていきます。
★ポイント★
パン生地はよくこねて、小麦粉に含まれる、粘りの成分を引き出すことが大切です。こね具合によって、食感や膨らみ方が変わってきます。

7 生地が均一になったら、こねた生地をまとめて丸くしてボウルに入れ、乾燥しないようにラップ(布巾)をかけて、温かいところで約2倍の大きさになるまで、1時間ほど発酵させます。

生地の発酵を待つ間にぶどうの準備をしましょう。

【ぶどうの下準備】
本来はワイン用のぶどうで作るのですが、日本ではなかなか手に入らないので、小粒のデラウェアを使って作ります。

1 デラウェアを1粒ずつ、皮がついたまま半分に切ります。

2 デラウェアをボウルに入れ、水分を出すために、砂糖(分量外50g)をまぶして10分ぐらい置きます。
掟:出して!出して!
ワイン用のぶどうに比べると、デラウェアは、水分が多いので、そのまま使うと生地が水分でべちゃべちゃになってしまうために、事前に水分を出しておきます。

3 デラウェアをザルにあけます。

【組み上げ】
1 布巾をかぶせた生地が2倍にふくらんだら、生地を台に出して、打ち粉をして綿棒で伸ばしていきます

2 耐熱の器の2倍位(約24cm×45cm)に伸ばし、生地を半分だけ器に敷きこみます。

3 水気を絞ったぶどう600gを敷いた生地の上に、たっぷり乗せ、グラニュー糖の半量60gを入れます。

4 残った生地をかぶせ、すき間のないようにパン生地を合わせます。

5 表面に、残りのぶどうとグラニュー糖を乗せます。

【焼く】
1 180℃のオーブンで約60分焼きます。

旬のぶどうをたっぷり使ったガリレオ風スキアッチャータは、ふわっとした生地に、豊潤なぶどうの香りが楽しめる、甘さと酸味がベストマッチのスイーツです!

(材料)22×22㎝ 1台分
<パン生地>
強力粉(カメリア)           280g
ぬるま湯                160ml  40℃くらい
エキストラバージンオリーブ油    65ml
インスタント・ドライ・イースト 10g
グラニュー糖             10g
塩                    ひとつまみ

デラウェア                800g
グラニュー糖             120g

打ち粉

(出典:NHK グレーテルのかまど~ガリレオ・ガリレイのスキアッチャータ~より
スキアッチャータ   レシピ監修 エコール 辻 東京 中濱 尚美 先生)



グレーテルのかまど イタリアのワイン作りから生まれた魅惑のスイーツたち!(スーゴ・ディ・ウーヴァ、パン・エ・サーバ、モスタッチョーリ)

番組では、イタリアワインの名産地で作られているスイーツが紹介されました。

まずは、スーゴ・ディ・ウーヴァ(sugo d’uva)

紫色のプリンのようなゼリーのようなスイーツで、ワインを作るときにできる、ぶどうの絞り汁(ワインムスト)に、小麦粉と砂糖を混ぜ合わせて固めたものになります。

トロッとした食感で、ぶどうの風味が香るのだそうです。

次は、パン・エ・サーバ (pan’e saba)

ぶどうから作られたシロップサーバと、アーモンドやクルミ、シナモンなどを生地に入れて焼いたスイーツです。

香り豊かで、もっちりどっしりとしたスイーツで、ナッツの食感がアクセントになっています。

続いては、モスタッチョーリ (mostaccioli)

ビスケットのような焼き菓子で、ぶどうの絞り汁が使われています。

ガリレオの長女ヴィルジニアが、父に送ったお菓子で、年老いて、歯が弱くなったガリレオのために、少し柔らかめに作ったと伝えられています。

日本では、なかなかお目にかかれない、ワインのぶどうを使ったスイーツたちです。

香りが豊なスイーツなんでしょうね。そして、きっとワインに合うのだと思います。


グレーテルのかまど 「ガリレオ・ガリレイのスキアッチャータ」を観て

スキアッチャータは、素朴なパンながら、合わせるものによってお菓子になるのは、日本の“コッペパン”や、“あんぱん”みたいな存在なのでしょうか?

ガリレオの時代からの伝統菓子「ぶどうのスキアッチャータ」も、トスカーナ地方の人の、心の拠りどころの菓子パンなのかもしれませんね。

そして、この伝統菓子から、ガリレオの生き方に触れることができ、その情熱の絶えない生き方に、自分の生き方を見つめるきっかけを、与えていただいたように感じました。



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