フランス・ブルターニュのクイニーアマン(グレーテルのかまど)

2020年10月5日の「グレーテルのかまど」は、「フランス・ブルターニュのクイニーアマン」。

パン屋にいくと、クイニーアマンを置いているお店は、結構あります。

外側の砂糖がキャラメリゼされて歯ごたえがあり、食べるとバターの風味が口いっぱいに広がるデニッシュです。

クイニーアマンは、もともとフランス、ブルターニュ地方の伝統菓子です。

ブルターニュ地方は、大西洋に面した、美しい海岸線の風景で名高い、自然豊かな地域です。

クイニーアマンは、ブルターニュ語で、クイニー(Kouign)はケーキ、アマン(Amann)はバターを意味し、“バターのお菓子”という意味です。

そのまんまですね。

日本ではパン屋で売られていて、お菓子というよりは、菓子パンとして扱われているようですね。

クイニーアマン誕生は、偶然からでした。

ブルターニュ地方の西の端の街、デュアルヌネという港町が、クイニアマンの生まれ故郷です。

1860年、あるパン屋で、クイニーアマンは生まれました。

パン屋で、お菓子が全て売りきれてしまったので、残っていたパン生地とバター、砂糖のありあわせの材料で作ったのが、クイニーアマンと言われています。

また、こんな説もあります。

当時フランスでは、小麦粉が不足して高値だったことから、小麦粉が少ない配分でパン生地を作ったところ、バターが多すぎて生地に馴染ませる前に溶けて大失敗!

捨ててしまうのはもったいないと、バターでダレてしまった生地を伸ばしては織る、を何度も繰り返し、バターと生地を馴染ませて焼いたところ、できあがったのがクイニーアマンとも言われています。

どちらにしても、思わぬ偶然で、食べる人を魅了するクイニーアマンが生れたなんて、ラッキーな奇跡ですね。

ブルターニュでは、バターにはブルターニュ特産の有塩バターを使います。

クイニーアマンは、バターの風味と塩味、砂糖の甘味の絶妙なバランスを楽しむことができる焼き菓子なのです。

グレーテルのかまど フランス ブルターニュの本場のクイニーアマンとは?

ブルターニュの人たちは、クイニーアマンを愛してやみません。

「キャラメルのようにクリーミー」
「コーヒーと一緒に食べる夜は、リラックスできるひとときだね」
「これが楽しみ。最高だよ。別世界に連れていかれるね」

プルターニュの人たちにとって、ほっと一息つく時のお供なんですね。

ブルターニュでは、クイニーアマンのサイズは、日本でも見る片手サイズのものもありますが、4人用、6人用、8人用など様々な大きさがあり、お客の要望に合わせて作ることも普通にあるのだそうです。

オーダーメイドのクイニーアマン、どうやってブルターニュでは作られているのでしょうか?

フランス北西部ブルターニュ地方の中心都市、レンヌで、クイニーアマンを作って20年、ブルターニュ地方の“クイニーアマンコンクール”で優勝したこともある、腕利きの職人に伺いました。

クイニーアマン作りに大切なのは、材料、温度、生地の仕上げ方、なのだそうです。

しっかりこねた生地は、一晩寝かせておきます。

長時間休ませることで、生地が柔らかくなめらかになり、次の日の朝には、しっかりと膨らみます。

そうしたら、まず、一晩寝かせた生地を伸ばして、たっぷりのやわらかくしたバターを、生地全体に行き渡るように、丁寧に伸ばしていきます。

さらに、これまたたっぷりの砂糖を加えながら、生地を折りたたみ、生地の層をつくります。

こうして、幾重にも重なる生地の層に、まんべんなくバターと砂糖が行き渡ります。

この“フイユタージュ”と呼ばれる工程が、とても大切なのです。

砂糖とバターたっぷりのお菓子ですが、“フイユタージュ”をすることで、軽い食感になると同時に、焼けた時に、キャラメリゼができるのです。

焼きあがったクイニーアマン、型をひっくり返して取り出すと、たっぷりのバターと砂糖が溶け出してつやつやに!

キラキラして、まるで黄金のよう!

クイニーアマン発祥の地、デュアルヌネの町で作られるクイニーアマンには、“本物のクイニーアマン”という称号が与えられているのだそうです。

“本物のクイニーアマン”とは、どんなものなのでしょうか?何が違うのでしょう?

”本物のクイニーアマン”は、焼く前に、ナイフで生地の表面にひし形の切り込みを入れます。

これは、生地が膨らみすぎるのを抑えるためです。

そして、表面の照り出すのに、卵黄をぬるのではなく、ミルクをぬります。

生地を膨らませすぎず、底がキャラメリゼ、表面はカリッと、中はふわふわに焼き上げるのが、クイニーアマン発祥の地の作り方なのです。

クイニーアマンにも、地域によって色々な特徴があるんですね。


グレーテルのかまど クイニーアマンは、ブルターニュの風土が詰まったスイーツ

クイニーアマンには、実は、ブルターニュの風土がいっぱいに詰まっているのです。

まず、ブルターニュのクイニーアマンで使われるバターは、この地方固有の乳牛、フルモンド・レオンからとれるミルクから作られます。

そのミルクは、脂肪分とカロテンが豊富で、とてもなめらかで美味しいバターになります。

そして、バターに塩を加えるのです。

そう、クイニーアマンで使うバターは、有塩バター。

バターに塩を加えるのは、長期保存ができるのと、ブルターニュが海に囲まれていて、いくつもの塩田が近くにあり、良質な塩が手に入ったからなのだとか。

ブルターニュ地方のゲランドの塩は、有名ですよね!

ブルターニュでは、海水を使った塩作りが9世紀から盛んに行われてきました。

塩は、ブルターニュの食の要です。バター作りにも欠かせません。

ブルターニュのスペゼの村では、今でも年に1度バターで作った彫刻を教会に納めているのだそうです。

バターの彫刻なんて、初めて見たけど、すごい存在感です。

にしても、ブルターニュのバターの色は、濃いレモン色で、本当にきれい。
バターじゃないみたいに見えます。

ブルターニュには、こんな言葉があるそうです。
「バターのないブルターニュは、その価値を半分失ったも同じ」

塩とバターが、この地方ではとても大切な役割を担ってきていることが伺えますね。

番組では、ブルターニュ地方ではちょっと知られた、クイニーアマン大好き一家が紹介されました。

顔の2倍ほどもありそうなクイニーアマンを、月に10枚は食べるのだとか。

そして、クイニーアマンは全て自家製。

フランス東部の街で育った、父親のアルノーさんが、出張でブルターニュに来た時にクイニーアマンを食べて以来、その虜になったのだそうです。

この町に越してきたのをきっかけに、作り方を独学で学び、今では家族全員で作ります。

好きが高じて、地元のクイニーアマン作りのコンテストにも出場し、家族全員が、見事に入賞しています。

母親のロールさんは、言います。
「お店のクイニーアマンは、もちろんおいしいんだけど、子供たちが作るクイニーアマンが大好き。愛情と情熱を込めて作ってくれて、とてもうれしいです。できたお菓子を家族で分け合うことが幸せです」

クイニーアマンは、作る人も、食べる人も誰もが誇りに思う、みなを幸せにする、ブルターニュの風土いっぱいのスイーツなんですね。


グレーテルのかまど 本場ブルターニュのクイニーアマンを作ってみましょう!

番組では、本場の味わいの大きなクイニーアマンにチャレンジしました。

「味わいの決め手」は、“表面パリッ バターじゅわ〜”

クイニーアマンには、有塩バターを使います。

まず、バターを綿棒で叩いて平たくしていきます。
掟: 絶対キレないで!

これは、生地の中でバターが、ところどころにプチプチ切れて入ると、層ができなくなってしまうので、バターを叩いて、伸びを良くします。

バターを叩いて、13センチ角ほどの大きさにします。

バターをクッキングシートの上で三つ折りにして、叩いて正方形にしたら、生地の空気を手で押して抜き、綿棒を使って正方形に伸ばしていきます。

その際に、綿棒で角を出しながら伸ばしていきます。

伸ばした記事に、バターを斜めに置いて包みます。

打ち粉をしながら、縦の辺が、横の辺の3倍になるように生地を伸ばしていきます。

これは、あまり時間をかけずに伸ばすのが、ポイントです。

時間がかかると、バターが柔らかくなり生地と馴染んで、層ができなくなってしまうのです。

伸ばしたら、三つ折りにします。そして、生地を90度回転させ、向きを変えて、再び伸ばしていきます。

これを“フイユタージュ”といいます。
“フイユ”は、葉っぱの意味です。

葉っぱが重なり合っているように層をつくっていきます。

伸ばしてまた伸ばして、三つ折りにしたら、生地をビニールに包んで冷蔵庫で30分休ませます。

冷やした生地を、また伸ばすときには、打ち粉ではなく砂糖をまぶします。

砂糖が打ち粉替わりなんて、すごいですね!
糖分の取りすぎ、の心の声は、今は聞かないことにしましょう。

伸ばすのには、生地が固まっているせいか、かなり力が必要なようです。

砂糖をまぶしながら、三つ折りにできる大きさまで伸ばします。

オーブンペーパーに伸ばした生地を乗せて型に入れ、表面に切れ込みは、3ミリの深さで菱形に入れます。

そして、表面に牛乳を塗り、200℃で40分焼きます。

オーブンから焼き立ての黄金色のクイニーアマンが登場!
美味しそう!!

材料
準備 21cmの型 1台
準強力粉     200g             フランスパン用の小麦粉がおすすめ
塩         4g
グラニュー糖          6g
インスタント
ドライイースト     2g
水                 120ml
有塩バター             6g             生地作りで使用(ステップ2)
有塩バター       140g             生地に折り込むもの(ステップ4)
打ち粉(強力粉)
グラニュー糖         適量

(出典:  NHK グレーテルのかまどオフィシャルサイト
~フランス・ブルターニュのクイニーアマン~より
クイニーアマン  レシピ監修 エコール 辻 東京 中濱 尚美 先生)



グレーテルのかまど クイニーアマンはいつ日本に来たの?ブームは?

日本では、平成10年(1998年)に、コンビニで袋詰めしたクイニーアマン風菓子パンが発売されて、大ヒットしたといわれています。

この時は、本物のクイニーアマンはブームにはなりませんでしたが、フランスの伝統菓子としての名前を知られるきっかけになりました。

今や、普通にパン屋に並べられているクイニーアマン。

いつ、本場の味がブームになったのでしょうか?

記憶にありませんが、気づいたら生活の中にごく自然にいた、という感じです。

カラメルの香ばしさや、バターの豊潤な香りが、日本人好みだったのかもしれませんね。

グレーテルのかまど 「フランス・ブルターニュのクイニーアマン」を観て

ブルターニュでは、男性が女性にプロポーズをする時に、クイニーアマンを贈る風習があったといいます。

クイニーアマンを頬張ると、誰もが幸せを感じる、癒しと愛のスイーツ。

クイニーアマンが、ロマンチックなスイーツとして贈られていたという話に、納得です!

本場の顔くらいの大きなクイニーアマンを食べてみた~~い!!

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