題名のない音楽会 「ニュー・シネマ・パラダイス」のエンニオ・モリコーネの音楽の世界!

2020年10月3日の「題名のない音楽会」は、『ニュー・シネマ・パラダイス』を作ったエンニオ・モリコーネの音楽会。

今年7月6日、「ニュー・シネマ・パラダイス」をはじめ、数多くの映画音楽を手掛けた巨匠・エンニオ・モリコーネが、91歳で逝去しました。

番組では、モリコーネの音楽に影響を受けたという、高嶋ちさ子、村治佳織、Toshlが、その思いを語ります。

また、原田慶太楼の指揮で、宮田大、上柴はじめ、荒絵理子、萱谷亮一、東京交響楽団が、モリコーネの音楽を演奏します!

題名のない音楽会 エンニオ・モリコーネの主な経歴

エンニオ・モリコーネは、イタリアの作曲家で、500作以上もの映画と、TV番組の音楽を手掛け、100曲を超えるクラシック作品を残しています。

全曲を聞いたことのある人は、どのくらいいるのでしょうか?

モリコーネの父が、管弦楽団でトランペットを吹いていたことが、モリコーネが音楽を始めるきっかけとなったといわれています。

6歳の時には、トランペットで作曲をしたといわれ、12歳の時に名門音楽院のサンタ・チェチーリア国立アカデミーに入学しています。

“マエストロ”の愛称で親しまれ、セルジオ・レオーネ監督による『荒野の用心棒』(1964年)、『夕陽のガンマン』(1965年)、『続・夕陽のガンマン』(1966年)などのマカロニウエスタン映画作品を始めとして、ローランド・ジョフィ監督の歴史映画『ミッション』や、1987年には『アンタッチャブル』でグラミー賞を受賞し、その後の『ニュー・シネマ・パラダイス』で、世界的に有名になりました。

2007年、第79回アカデミー賞において名誉賞を受賞し、2016年、『ヘイトフル・エイト』の音楽で第88回アカデミー賞 作曲賞を受賞しています。

また、2003年にNHKの大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』の音楽を担当しています。


題名のない音楽会 モリコーネの音楽が心をわし掴みにするのはなぜ?

映画「ニュー・シネマ・パラダイス」は、1988年に公開された、少年と映写技師との心の交流を描いた映画史に残るイタリア映画です。この映画音楽を手掛けたのが、モリコーネです。

世界的なギタリストの村治香織は、「モリコーネ、大好きです。最初に美しいなと思ったのが、『ニュー・シネマ・パラダイス』です。メロディラインでいう曲線美、上から下へ美しい放物線をたくさん見せてくれる、聞かせてくれるというのがいいですね」と語ります。

高島ちさ子も『ニュー・シネマ・パラダイス』が大好きだと言います。
「モリコーネのコード進行がすごく好きで、シンプルなんだけど、必ず心をわし掴みにする、あの感じがたまらないです」

ロック歌手のToshiは、人生の中で1番聞いたCDアルバムは、モリコーネだといいます。

映画『The Mission』の「ガブリエルのオーボエ」が一番好きだそうです。

映画の中で、宣教師が先住民に演奏した曲です。
「なんでメロディーだけで、あんなに人の心をつかめるのか。メロディーなんですけど、何かそこに言葉が見えるような、メッセージ性があって、わだかまりや壁とかを溶かしていくような、何度聞いても目頭が熱くなるメロディーですね」

指揮者の原田慶太楼(※)は言います。「モリコーネの音楽は、シンプルなハーモニーで、シンプルなメロディーという特徴があり、メロディーを聞いただけで、すぐに“うるうる”してしまうと言う魅力があります。そして、彼は、人の感情描くのがとても上手な作曲家です」

チェロ奏者の宮田大は、番組内で『ニュー・シネマ・パラダイス』メドレーをチェロで演奏しながら、長調で明るいメロディーなのに、どこか切なさを感じる曲と言い、演奏後は涙があふれてハフハフいいながら演奏したと語っていました。

演奏者も聴衆も、心の奥底から何と表現してよいかわからない溢れる感情がこみ上げてくる曲ですよね。

(※)原田慶太楼
スター・ウォーズの作曲者ジョンウィリアムズの信頼も厚い映画通の指揮者。アメリカサバンナフィルハーモニック音楽&芸術家監督。2021年4月より東京交響楽団正指揮者に就任決定

モリコーネのもう一つの代表作といえば、イタリアで制作された西部劇、マカロニウエスタンの映画『荒野の用心棒』や『夕陽のガンマン』などがあります。

これらは、これまでの映画音楽の常識を覆したといいます。

モリコーネが変えた映画音楽の鉄則とは、どんなことなのでしょうか?

1つは、個性的な楽器を登用したことです。

まず、“口笛”。

これは、日本のドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子~』のテーマ曲にみることができます。

この曲の作曲者、沢田完(さわだ・かん)は、主人公の女医が、媚びない一匹狼である印象を強めるために、マカロニウエスタンの代名詞、モリコーネの“口笛”を採用したといいます。

上柴はじめの“口笛”が、荒野をふきすさぶ砂嵐に、敢然と立ち向かう、芯の強さを感じさせます。

もうひとつの楽器は、“口琴”です。

口琴は金属、あるいは竹、木、椰子の葉肋などを加工した弁と枠を有する楽器の一種。演奏者はこれを口にくわえるかまたは口にあてて固定し、その端を指で弾く。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
『夕日のガンマン』で採用されている印象的な音色の楽器です。

萱谷亮一(かやたに・りょういち)(口琴・パーカッション奏者)が、音の出る仕組みを説明していました。
「(金属の)枠の真ん中に振動する弁があって、それを口の形を変えて口の中で響かせるんです」

指で弁をはじくと、「およよよよよん」と、まるで話しているかのような音が聞こえます。

口琴は、1つの音しか出せない特徴があります。

しかし、モリコーネは、これを音程毎に作って、演奏をしたのです。

モリコーネの発想の転換がすごいですよね。

最後の楽器は、”トランペット”です。

モリコーネが小さいころから親しんできたトランペット。

クラシックだとファンファーレによく使いますが、モリコーネは、哀愁、悲しみ、感情、色々なものを、まるでイタリアのオペラ歌手が歌っているような感覚で、トランペットで演奏させました。

マカロニウエスタンのトランペットの演奏は、日本のドラマでも、よく使われた法則なのです。

代表的なものは、『必殺仕事人』のテーマ曲です。「パラパー、パパパパパパパパパパラララ~ン

おー!懐かしい。確かに、とても印象的で、頭に残って忘れようがありません。

モリコーネのトランペットは、世界中にいろいろな影響与えて、日本も例外なく影響されました。

モリコーネと言えば、イタリアを愛し、こだわりを持っていて、英語も一切勉強せず、作曲はイタリアだけですると決めている人でした。

そして、オペラのある環境で育っていて、オペラをとても愛し、歌い上げるようなメロディーラインが素晴らしく特徴的と、指揮者原田慶太楼は言います。

「ネッラ・ファンタジア」(1998年)は、「ガブリエルのオーボエ」にイタリア語の詞をつけ、サラ・ブライトマンが歌い、大ヒットしました。

この曲が象徴するように、モリコーネのメロディーが歌い上げるのは、生まれ育ったイタリアのオペラが、影響しているからと、原田慶太楼は言います。

モリコーネの深いイタリアへの愛、オペラへの愛、人への愛、音楽への愛が聴こえてくるように思いました。


題名のない音楽会 「『ニュー・シネマ・パラダイス』を作ったエンニオ・モリコーネの音楽会を観て

モリコーネの音楽に触れると、心の奥底からの感情が引きだされ、音楽に引き込まれ、身をゆだねてしまうような圧倒感があります。

人が心から感動するものを、モリコーネは知っていたのでしょうか?

世界中の人を魅了したモリコーネの音楽に、もっと浸っていたいと思う時間でした。

楽曲紹介

♪1:「ニュー・シネマ・パラダイス・メドレー」
作曲: A.モリコーネ&E.モリコーネ
編曲: 山下康介
チェロ: 宮田大
指揮: 原田慶太楼
演奏: 東京交響楽団

♪2:「マカロニウエスタン・メドレー」
作曲: E.モリコーネ
編曲: 山下康介
口笛: 上柴はじめ
口琴: 萱谷亮一
指揮: 原田慶太楼
演奏: 東京交響楽団

♪3:「ガブリエルのオーボエ」
作曲: E.モリコーネ
編曲: 山下康介
オーボエ: 荒絵理子
指揮: 原田慶太楼
演奏: 東京交響楽団
(出典:TV asahi  題名のない音楽会オフィシャルサイト)

偉人たちが残した言葉

 いつも思うのですが、なにかが流行しているとき、それはすでにとても古いものです。  ~エンニオ・モリコーネ~
(出典:TV asahi  題名のない音楽会オフィシャルサイト)



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