2020年12月12日の「題名のない音楽会」は、「絶滅危惧種!?蛇腹楽器の秘密を知る休日」。
アコーディオンや、バンドネオンという楽器を知っていますか?
これらの楽器を「蛇腹楽器」と言います。
空気の入る箇所が伸び縮みして、蛇腹のようなところからきています。
どんな特徴を持った楽器なのでしょうか?
そして今、絶滅危惧種になっているらしいのです。一体どういうこと?
番組には、日本を代表する、蛇腹楽器奏者の3人が出演しました。
小松亮太 (バンドネオン奏者)、田ノ岡三郎 (鍵盤式アコーディオニスト)、小春(チャラン・ポ・ランタン)(ボタン式アコーディオニスト)の3名です。
演奏家たちが、この問いに答えてくれました!
収録に臨ませて頂いた時と同じように
観ててアドレナリン湧き出てきた❣️
楽しかった~✨#題名のない音楽会素晴らしき蛇腹楽器💕
本当に『ムーンリバー』しか弾けない時期があったのに…
蛇腹な人生になりました😊明日12/13(日)8:00〜
BS朝日にて再放送も有ります
是非もう一度お楽しみください‼️ pic.twitter.com/ct6WrEuuPP— 田ノ岡三郎@12/12題名のない音楽会 旅するaccordionist Saburo Tanooka (@saburotter) December 12, 2020
出演者 [題名のない音楽会]
小松亮太 [バンドネオン奏者]
1973年東京生まれ。両親ともタンゴ奏者の家庭で育ち、14歳よりバンドネオンを独習。
1998年、ソニーからCD『ブエノスアイレスの夏』でデビュー。
日本にバンドネオンブームを巻き起こす。
「ライブ・イン・TOKYO〜2002」がアルゼンチンで高く評価され、03年にはアルゼンチン音楽家組合(AADI)、ブエノスアイレス市音楽文化管理局から表彰された
(授与者はレオポルド・フェデリコとカルロス・ガルシーア)
世界的なバンドネオン奏者・作曲家として幅広く活躍し、ジャンルを超えて様々なアーティストとも共演。
(参考)ソニーミュージックオフィシャルサイトから
田ノ岡三郎 [旅するアコーディオニスト]
東京音楽大学を卒業後、パリでダニエル・コラン氏に師事。
東京を拠点に全国(時に海外)で活動を続ける「旅するアコーディオニスト」。
「ひよっこ」、「逃げるは恥だが役に立つ」、「天気の子」、朝ドラ「エール」など等TVドラマ、映画、アニメ、CMやゲームの音楽への演奏参加も多数。
2019年12月よりFM狛江(コマラジ)パーソナリティーに就任し「田ノ岡三郎の旅するアコーディオン」を毎月放送中。
(参考)田ノ岡三郎のオフィシャルサイトから
小春(チャラン・ポ・ランタン)[アコーディオニスト]
もも(唄/ 平成生まれの妹)と小春(アコーディオン/ 昭和生まれの姉)による姉妹ユニット。
2009年に結成、2014年にエイベックスよりメジャーデビュー。
バルカン音楽、シャンソンなどをベースに、あらゆるジャンルの音楽を取り入れた無国籍のサウンドや、サーカス風の独特な世界観で日本のみならず、海外でも活動の範囲を広める。
チャラン・ポ・ランタンとしての活動のほか、映画/ドラマへの楽曲提供(ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のオープニングテーマを担当)、演技・CM・声優・イラスト・執筆など活動の範囲は多岐に渡る。
小春の持つ蛇腹楽器は、ボタン式クロマチックアコーディオン。
(参考)チャラン・ポ・ランタン オフィシャルサイトから
古坂大魔王 [ピコ太郎のプロデューサー/ お笑い芸人/ プロデューサー/ クリエーター]
1992年 お笑い芸人「底ぬけAIR-LINE」 でデビュー。現在は、バラエティ番組への出演やSCANDAL、mihimaruGT、AAAなどとのコラボ、楽曲制作。また2016年8月にピコ太郎のプロデューサーとしてPPAPをキッカケに大ブレイク。
2017年には加藤一二三さん(大天才ひふみん)へのプロデュース、楽曲提供でも話題となる。
芸人、プロデューサー、クリエイターなど幅広いジャンルで活躍中!青森市観光大使。
(出典)講演依頼.comのサイトから
アコーディオンや、バンドネオンは、どんな風に音がでるの?[題名のない音楽会]
蛇腹楽器の特徴を、小松亮太が教えてくれました。
簡単に言うと、中にハーモニカが入っているようなものなのだそうです。
ハーモニカを口で拭くのではなくて、風を送りこむ装置をつけて、手で操作できないかな、とハンドハーモニカという発想からできたものが、アコーディオンの最初ではないかと言っていました。
ハーモニカは、息を吐いたり吸ったりすることで音を出しますが、蛇腹楽器は、蛇腹を押し引きすることで空気を入れ音を出しています。
アコーディオンとバンドネオンは、どう違うの?[題名のない音楽会]
アコーディオン
アコーディオンは、学校の音楽室にあったりして、弾いたことのある人もいるかもしれません。
アコーディオンにも、”鍵盤式アコーディオン(ピアノの鍵盤がついている)”や、鍵盤がボタンになっている、”ボタン式アコーディオン”があるって知っていました?
なんでも、”ボタン式”の方が、”鍵盤式”よりも歴史が古いのだそうです。
小春が、私見で言うには、ピアノのように鍵盤ををつけたほうが、売れるのではないかと思ったのでは、とのことでした。
実際に、ピアノが盛んな地域では、バカ売れしたのだとか。
また、”ボタン式”は、音の出るボタンが縦に5列、横にもずらりに並んでいます。
そして、隣り合う音が2列でジグザグに配置されているために、”鍵盤式”よりも、1オクターブを弾く時に、指の稼働範囲がコンパクトなのだといいます。
小春が、”ボタン式アコーディオン”を弾くようになったのも、小さい頃、手が小さくて、”鍵盤式”での指さばきが難しかったからだと言います。
なるほどね。ピアノと違って、”ボタン式”と”鍵盤式”を選択できるって、なんかすごい!と思ってしまった私でした。
また、”ボタン式”が得意とするのは、歌の伴奏。
何故かと言うと、声のキーが違う人にも、柔軟に対応できるから。
なんと、ボタンの配列が、キーチェンジしても位置が変わるだけで、指遣いが変わらない配列になっているのだそうです。
その為、シャンソン、ロシア民謡の歌の伴奏でも、よく使われているのです。
また、アコーディオンは、肩からのベルトで抱えて演奏するようにできています。
重さはだいたい10㎏超えるくらい。
小春の”ボタン式アコーディオン”は、10kg程度、田ノ岡三郎の”鍵盤式アコーディオン”は、13kg程度だと言っていました。
結構重いですよね。。。よく演奏ができます。
バンドネオン
バンドネオンは、なかなか身近になくて、見たことのある人は、少ないかも。
バンドネオンは、ドイツで生まれた、アルゼンチン・タンゴの演奏に欠かせない楽器です。
日本で、昭和30年代の空前のタンゴブームがあった時には、バンドネオンは身近にあったのだとか。
左右に、ボタン型の鍵盤がついていて、だいたい、左33個、右38個の合計71個のボタンがあります。
ボタンの配置などは、楽器ごとに違っていて、音階を覚えるのもやっかいな上に、蛇腹の伸縮によって、音が変わる、習得が難しい楽器と言われています。
そして、ボタン型の鍵盤の手前についているベルトに手をひっかけて、膝の上に乗せるようにして、演奏します。
重さはだいたい7kg前後です。
アコーディオン奏者とバンドネオン奏者の”あるある”とは?[題名のない音楽会]
Uber Eatsに間違えられる
アコーディオンがかなりの大きさと重さのために、リュックのように背負って移動をしていると、Uber Eatsによく間違えられるのだそうです。
これは、最近の”あるある”ですね。
実際、小春がアコーディオンを背負って自転車を漕いでいる姿は、Uber Eatsでした。
色が違うのと、ロゴがないだけ。
小春は、撮影現場の入り口を探してウロウロしていると、「Uberあちらです」と言われることも多いのだとか。
ご本人たちは、ちょっと疲れる、と思うかもですが、面白いですね!
ど派手な衣装になりがち
どうして、ど派手になるんでしょう?
演奏する曲のせい?と思っていたら、そうではありませんでした。
楽器が大きく、それも、身体の正面に密着しているために、着ている服がほとんど見えない。。。
肩の一部と、袖くらい。
その狭い範囲で服装のアピールをしようと思ったら、確かに目立つようなド派手衣装になりますよね。
こんな努力もあるんですね。
毎日が筋トレ
これは、納得。
楽器が重い上に、抱えて持たないと演奏できないのは、大変な重労働。
小春は、いつも、立って演奏するのだと言っていました。
なぜかと言うと、手の力が弱いために、重力に手伝ってもらって、蛇腹を開いてもらうのだそうです。
なるほどね。
小松と田ノ岡も、そうそう、と頷いていました。
男性でもずっと持って演奏するのは、結構大変なのでしょう。
小春は、細くて、楽器のほうが大きく見えるほどですので、相当に大変に違いありません。
「足首や、膝の上とかが、ガクガクになるんです。だから私、一石二鳥みたいな形で、四股立ちで練習をしています」
いやいやすごいですね。
楽器の上に腕を組んで休む?
番組中に、古坂大魔王が、演奏者3名の同じスタイルに、”あるある”を発見!
演奏を終えた後、楽器の上に腕を組んで休むというのが、蛇腹楽器奏者の暗黙の”あるある”だってことを。
アコーディオンとバンドネオンが”絶滅危惧種”とは、どういうこと?[題名のない音楽会]
メーカーが、ほぼ閉鎖
小松は、バンドネオンは、絶滅しかけたと言っていました。
これは、プロの奏者が、戦前のドイツ製しか探さないのも原因のひとつと言われています。最近ドイツの会社が作っているようですが、他の楽器に比べるとまだまだ、だそうです。
現存する楽器も、既にメーカーがなくなっているものが、ほとんどなのが現状です。
これは、アコーディオンにも共通しているようです。
ここ5年くらいで、バタバタっとメーカーがなくなってしまったのだと言います。
小松、小春の、今持っている楽器も、メーカーが無いのだそうです。
また、楽器の値段に驚きました。
車1台分の値段程度で、十分に買えそうなのです。
プロが使っているのだから、手が届かないほど高いのかと思っていたら、結構、安い。
バンドネオンで、50万円前後。
アコーディオンで、相場は200万円前後。
取引価格は、様々になるそうですが、プレーヤが少なすぎて、取り合いが起きないために、価格が吊り上がらないのだそうです。
ほんとに、絶滅危惧種だわ。。。
素敵な音色なのに。演奏家も少ないのね。
修理がままならない
メーカーがないってことは、楽器が壊れたら、修理がままならない、ってことです。
アコーディオンもバンドネオンも、鍵盤のサイズとかボタンのサイズの統一規格がないために、
一つ一つ手作業で部品を揃えるしかない!
時間も費用も、とてもかかって、演奏者たちは、頭を悩ませています。
これを何とか解決できないかと、小春さんが期待しているのが、最先端技術の”3Dプリンター”!!
バンドネオンアコーディオンの修理工房の”Bellow works Tokyo”の 原田親明(はらだちかはる)さんがコメントを寄せていました。
「部品を作るとなると、金属素材を使用する必要があり、コスト面などで、現時点では使用していない。3Dプリンターは、将来的に期待できる技術」
古坂大魔王も、例えばドイツの職人がリモートで、データを送ってきて、治せるとかも可能になりますよね、と言っていました。
こんなことができたら、希少価値のある楽器を永く使うことができますよね!
楽曲紹介 [題名のない音楽会]
♪1:ロシア民謡「黒い瞳」
編曲: 小松亮太
バンドネオン: 小松亮太
アコーディオン: 田ノ岡三郎、小春♪2:「ムーン・リバー」
作曲: H.マンシーニ
編曲: 田ノ岡三郎
アコーディオン: 田ノ岡三郎♪3:
『アレグリア』より「ジュー・ダンファン」作曲: R.デュペレ
アコーディオン: 小春「風の詩」~『となりのトトロ』より「さんぽ」
作曲: 小松亮太、久石譲
編曲: 小松亮太
バンドネオン: 小松亮太(出典)tv asahi 題名のない音楽会オフィシャルサイト
「絶滅危惧種!?蛇腹楽器の秘密を知る休日」を観て[題名のない音楽会]
アコーディオンや、バンドネオンのみを取り上げた企画は、なかなか無いですよね。
蛇腹楽器奏者の”あるある”にはなるほど!と奏者の方々のご苦労を知りました。
今、ドラマやCMで聴く機会の増えた蛇腹楽器の現状について、知れて良かったと思います。
みなさんは、いかがでしたか?
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