題名のない音楽会 本條秀慈郎、實川風、村治佳織、鈴木優人が日本の冬の人気Jポップを”協奏曲”で演奏したら?

2020年12月19日の「題名のない音楽会」は、「日本ポップス 冬の協奏曲の音楽会」。

誰もが知っている、”日本の冬の人気Jポップ”を集めて、それをクラシックの歴代の大作曲家たち(ショパンなど)が、協奏曲にアレンジしたら、どんな風になるのでしょう?

この大胆な試み、今回で第5弾の人気の企画なのだそうです。

四季おりおりの、人気のJポップを協奏曲にアレンジしてきているそうです。

石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」が、

globeの「DEPARTURES」が、

山下達郎の「クリスマス・イブ」が、

どんなクラシックと一緒になって演奏されたのでしょうか?

題名のない音楽会  クラシック音楽の”協奏曲”とは?

”協奏曲”とは、ソリストとオーケストラが、協力して奏でる楽曲で、音楽の1種のジャンルです。

”協奏曲”に欠かせないないのは、ソリストが自分の技巧を披露する”カデンツァ”があることです。

”カデンツァ”は、協奏曲の1番の見所です。

協奏曲は、原則3つの楽章から構成されます。
各楽章の曲調は、こんな感じです。

第一楽章曲の顔となる堂々とした曲調
第二楽章ゆったりとした曲調。緩徐楽章
第三楽章フィナーレを飾る華やかな曲調

「冬」をテーマとする協奏曲を構成する各楽章にあてはめられた”日本の冬の人気Jポップ”は
何でしょう?

題名のない音楽会 ”日本の冬の人気Jポップ”からできた「冬の協奏曲」とは?

第一楽章  「津軽海峡冬景色」をヴィヴァルディの「冬」でアレンジしたら?

第一楽章に選んだ曲は、1977年にリリースされた「津軽海峡冬景色」(阿久悠作詞/三木孝たかし作曲)です。

日本レコード大賞歌唱賞を受賞した、石川さゆりの代表作ですよね。

日本人が、冬に歌う曲でイメージした時に、1番最初に出てくる曲ではないでしょうか?

これを、バロック時代を代表する作曲家であるヴィヴァルディ(1678年~1741年)が300年前に作曲したヴァイオリン協奏曲集「四季」のうちの「冬」とコラボした曲が披露されました。

[コラボ理由]
1.ヴィヴァルディの「冬」は、ヴァイオリンで、北風の吹き付ける様子や、寒さに身震いして、歯がカタカタしてるような様子を表現していて、「津軽海峡冬景色」と一致点がある。

ソリストは、三味線演奏家の本條 秀慈郎(ほんじょう ひでじろう)です。

指揮者の鈴木優人は、冬の厳しさを表現するのは、三味線の鋭い音が、ふさわしいのではないかと思ったといいます。

確かに。三味線の音は、冬の厳しい北風や、荒波や、吹雪がイメージされます。

オーケストラが、「四季」の「冬」の第一楽章で、冷たい雪の中の震えを表現していました。

ソリストは、「津軽海峡冬景色」のメロディーを演奏していました。

異なる曲なのに、何でこんなにシンパシーを感じるのでしょうか?

冬のイメージが曲と曲をつなぐんでしょうか?

三味線演奏家の本條 秀慈郎も、演奏後、こんなことを言っていました。
「三味線協奏曲が、新しいものが誕生したんじゃないかなと思いました」

第二楽章  「DEPARTURES」をショパンが作曲したら?

第二楽章に選んだ曲は、1996年にリリースされた「DEPARTURES」(小室哲哉 作詞作曲)です。

「DEPARTURES」は、JRのCMソングとして話題になり、200万枚以上売り上げたglobeの曲です。

「DEPARTURES」が第二楽章に選ばれたのは、メロディーラインが優美なところが、第二楽章にピッタリだからなのだそう。

そして、この曲とコラボした曲、作曲家は、ショパンでした。
[コラボ理由]
1.「DEPARTURES」のサビの駆け上がるような音階が、ショパンの音形に少し似ている。

2.ショパンのポエム的なところが、「DEPARTURES」で歌われている、恋愛の割り切れない感じに合う

ここから、ショパンが選出されたのだそうです。

ソリストは、ピアニストの實川 風 (じつかわ かおる)です。

實川 風は、「今回演奏するにあたり、「DEPARTURES」の歌詞を見直してみたんです。そうしたら、恋愛で未練がある様子を歌っていて、2人で思い出を作りたかったという歌詞があって。ショパンも、初恋の女性の手紙を、ずっとカバンに忍ばせてたと言うエピソードがあるので、それを想いながら弾いてみました」と言っていました。

ピアノの音階を弾く音色が、ショパンのエチュードを思わせ、途中、ピアノ協奏曲第2番をイメージした部分も出てきて、美しい調べに聴き惚れました。

第三楽章  「クリスマス・イブ」をヘンデルの「メサイヤ」とコラボしたら?

第三楽章に選んだ曲は、1983年にリリースされた「クリスマス・イブ」(山下達郎作詞作曲)

30年連続オリコンシングルチャートトップ100にチャートインし、2016年に、ギネス世界記録に認定され、現在も記録更新中のポップスの中で聴き継がれている名曲です。

「クリスマス・イブ」が、第三楽章に選曲されたのは、曲調は明るい感じで、未来に向かっていくように感じるところ。

そして、この曲とコラボした作曲家は、ヘンデル(1685年~1759年)です。

バロック時代にイギリスで活躍した作曲家で、代表曲メサイヤは欧米でクリスマスの定番曲となっています。

[コラボ理由]
1.「クリスマス・イブ」のコード進行は、ちょっと下降していく音階が、バロック音楽でも使われるコード進行と合っている。

2.「クリスマス・イブ」の間奏には、パッベルベルのカノン(バロック音楽)が引用されている。

ソリストは、ギタリストの村治佳織(むらじ かおり)です。

「クリスマス・イブ」が使われたJRのCMでは、切ない女心が描かれていました。

華やかさと繊細さを兼ね備えた、ギタリストの村治佳織が、ソリストとしてピッタリだと、指揮者の鈴木優人は、言っていました。

村治佳織は、「クリスマス・イブ」について、「これからも、この曲は、ずっと聴き継がれていくだろう、ポップスの中のクラシック」と言っていました。

全くその通りだわ。

この曲がないクリスマスは、ちょっと考えられない気持ちすらしてしまいます。

協奏曲では、「クリスマス・イヴ」をソリストが演奏し、オーケストラが、「メサイヤ」を演奏していました。

「クリスマス・イヴ」のメロディをギターが聴かせて、オーケストラが「メサイヤ」を演奏しているのに、メロディを盛り立てて、華やかな最後を聴かせてくれました。

いいですね。不思議な感動があります。

時代を超えた音楽の繋がりというのでしょうか?

音楽の起源は、クラシック音楽というから、全部つながるのかしら?

題名のない音楽会 出演者プロフィール

本條 秀慈郎(ほんじょう ひでじろう)[三味線演奏家]

1984年生まれ。桐朋学園大学在学中、本條流家元本條秀太郎氏に師事し本條秀慈郎の名を許される。
2016年、ACC Nakamura Kimpeiフェローシップによりニューヨークへ渡米。帰国後、自主リサイタル開催など国内の他、欧米、アジアの各地で演奏。
NHK教育テレビ「日本の芸能」、テレビ朝日「題名のない音楽会」などに出演。
アンサンブル・ノマド、クァルテット・エクセルシオやクレア・チェイス(フルート)、佐藤紀雄(ギター)、宮田まゆみ(笙)と共演。他ジャンルとの試みも多く、舞踊家の平山素子、デザイナーのジャン・リーロイ・ニューとも共演している。
(出典)

實川 風 (じつかわ かおる)[ピアニスト]

2015年、パリのシャンゼリゼ劇場で行われたロン・ティボー・クレスパン国際コンクールにて、第3位(1位なし)、最優秀リサイタル賞、最優秀新曲演奏賞を受賞。
2016年、イタリアで行われたカラーリョ国際ピアノコンクールにて第1位・聴衆賞を受賞。現在、日本の若手を代表するピアニストの一人として、国内外での演奏活動を広げる。
ソリストとしてベートーヴェンを核とした本格的なレパートリーに取り組む一方、邦人作品の新作初演などでも作曲家より信頼を寄せられている。
海外の音楽祭への招待には、上海音楽祭、ソウル国際音楽祭、ノアン・ショパンナイト(フランス)・アルソノーレ(オーストリア)などがある。
東京藝術大学附属高校・東京藝術大学を首席で卒業し、同大学大学院(修士課程)修了。山田千代子、御木本澄子、多 美智子、江口玲の各氏に師事。グラーツ国立音楽大学ポストグラデュエート課程を修了。マルクス・シルマー氏に学ぶ。
(出典)MIYAZAWA&Co. オフィシャルサイト

村治佳織(むらじ かおり) ギタリスト

クラシックギタリスト。3歳より父・村治昇の手ほどきを受け、10歳より福田進一に師事しています。

1992年にブローウェル国際ギター・コンクール(東京)及び、東京国際ギター・コンクールで優勝を果たし、1993年に津田ホールにてデビューリサイタル、同年、デビューCD「エスプレッシーヴォ」をリリースしています。

現在は、イタリア国立放送交響楽団の定期演奏会や、フランス ナント音楽祭に招かれるなど、世界で活躍をするギタリストです。

鈴木優人(すずき まさと) [指揮者、作曲家、ピアニスト、チェンバリスト、オルガニスト、演出家、プロデューサー]

バッハ・コレギウム・ジャパン 首席指揮者 読売日本交響楽団 指揮者/クリエイティヴ・パートナー アンサンブル・ジェネシス 音楽監督 1981年オランダ生まれ。東京藝術大学及び同大学院修了。オランダ・ハーグ王立音楽院修了。
第18回齋藤秀雄メモリアル基金賞、第18回ホテルオークラ音楽賞受賞。
2018年9月よりバッハ・コレギウム・ジャパン首席指揮者に就任。2020年4月1日からは、読売日本交響楽団の指揮者/クリエイティヴ・パートナーに就任予定。音楽監督を務めるアンサンブル・ジェネシスでは、オリジナル楽器でバロックから現代音楽まで意欲的なプログラムを展開する。
(出典)JAPAN ARTSより

題名のない音楽会 楽曲紹介

♪1:もしもヴィヴァルディが石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」をアレンジしたら?
作曲: 三木たかし
編曲: 萩森英明
三味線: 本條秀慈郎
指揮: 鈴木優人
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団

♪2:もしもショパンがglobeの「DEPARTURES」をアレンジしたら?
作曲: 小室哲哉
編曲: 萩森英明
ピアノ: 實川風
指揮: 鈴木優人
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団

♪3:もしもヘンデルが山下達郎の「クリスマス・イブ」をアレンジしたら?
作曲: 山下達郎
編曲: 萩森英明
ギター: 村治佳織
指揮: 鈴木優人
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団
(出典)tv asahi 題名のない音楽会 オフィシャルサイト

まとめ

この時期、街を歩くと耳にする曲たち。
今年は、めっきり聞く機会がありません。
何か物足りない感じがしますんで。
クラシック風にアレンジが可能な日本のポップスは、けっこうすごいかも!
ずっと聞き続けられる力を持っているのかもしれません!

コメント

  1. たろうT より:

    これはすごい企画ですね!見逃してしまったことを悔やみます。

    • hajimeyou01 より:

      このクラシックとJポップのコラボは、季節ごとに試みられています。クラシック音楽を演奏するだけでなく、いつも挑戦し続けているこの番組、本当にすごい!って思ってます。

タイトルとURLをコピーしました