題名のない音楽会:LEO,村治佳織,松永貴志,上野耕平が自身の世界観を演奏

2020年6月27日の「題名のない音楽会」のタイトルは、「ドアの向こうの音楽会」。
一流の演奏家が、名曲にピッタリな景色の中で演奏を繰り広げます。
出演者は、村治佳織さん、松永貴志さん、上野耕平さん、LEO(今野玲央)さん他。

スタジオ内の扉を開けて、演奏家自身が選曲した曲を、演奏したい絶景(仮想空間)にテレポーテーションして演奏します。
実際ならありえないようなシチュエーションでの演奏が可能なために、演奏者も興奮気味!
演奏家自身の世界が反映される企画。どんな世界観が演奏されるのかが楽しみです!

LEO(今野玲央)は筝曲家。筝で「マイ・フェイヴァリット・シングス」(jr東海cm曲)!

LEOさんは、現役の東京藝術大学の学生で、16歳で「くまもと全国邦楽コンクール」史上最年少で最優秀賞・文部科学大臣賞受賞するなど、若手実力派です。
現在は、ゆずや、一青窈と共演するなど、ジャンルを超えて幅広く活動をしている筝アーティストです。

LEO(今野玲央)さんが演奏するのは、「マイ・フェイヴァリット・シングス」。この曲は、有名なミュージカル「サウンド・オブ。ミュージック」の挿入歌(邦名:私のお気に入り)です。
日本では、京都のイメージがありますよね。JR東海が1993年より実施していたキャンペーン「そうだ 京都、行こう。」のテレビCMのBGMに採用されています。

LEO(今野玲央)さんが筝でこの曲を演奏したい場所として選んだのは、京都・嵐山の竹林。

奏でる箏の音色が、そよそよと竹林を抜ける風や、連なる千本鳥居、行き交う観光客に、夕焼けに映える五重塔、夜の祇園を歩く舞妓さんや、鴨川に写る灯篭や大文字焼きの背景にマッチして、かつて自分が行ったことのある記憶の中の京都や、はたまた映像でしか見たことのない京都の中に居るような気持ちになりました。

れっきとした洋楽なのに、何故か京都が合う。共演した村治佳織さんも「この曲が京都に合うことを発明した人は天才」とコメントしています。

和のアレンジが効いていて、1曲の中に様々なテクニックが詰まっており、弦を爪で横に滑らせるように掻く“散らし爪”などが、和の表現であるわびさびの世界をより演出していました。


村治佳織がアルハンブラ宮殿でギター演奏!?

村治佳織さんは、イタリア国立放送交響楽団の定期演奏会や、フランス ナント音楽祭に招かれるなど世界で活躍をするギタリスト。
村治佳織さんは、旅が大好き。「旅のない人生はないと言っていいくらい」とコメントしています。下町育ちだったことから小さい時は、将来は「女寅さんになりたい」と思っていたとか。

村治佳織さんが演奏するのは、イサーク・アルベニス作曲の「スペイン組曲第1集第1曲グラナダ」。
この曲は、アルベニスが1886年にスペインアンダルシアの古都、グラナダへの想いを込めて作曲したピアノ曲。ピアノ曲でありながら、ギター風の伴奏が印象的な曲です。

「この曲は最初から作曲者の中に映像があって作曲された様子が伺える」、「“アルペジオ”という演奏法が、哀愁漂うグラナダの街並みにピッタリ」と村治佳織さんはコメントをしています。

村治佳織さんがこの曲を演奏したい場所は、グラナダにあるアルハンブラ宮殿(世界遺産)。15世紀まで800年ちかくこの地で栄えたイスラム王朝の宮殿で、中世イスラム建築の頂点といわれています。

悠久の時を経てきたグラナダの街並みが表現されているようなメロディーの中に、フラメンコ発祥の地でもある情熱を感じる旋律が織り込まれていて、スペインの風土と歴史を感じられるように私には思えました。

この演奏に、共演のLEOさんは、「本当に素晴らしい演奏。グラナダの風景や儚い曲調に、箏でも演奏してみたいと思わせる」と絶賛。


松永貴志(ピアニスト)が「アンダー・ザ・シー」をピアノでアレンジ!

松永貴志さんは、17歳の時に、ハービー・ハンコックとの共演をきっかけにメジャー・デビュー。ロン・カーターとの共演を始め、世界20か国で演奏。抜群のリズム感と圧倒的なピアニズムで、世界中から喝さいを受けているジャズピアニスト

松永貴志さんが演奏するのは、ディズニーの「リトル・マーメイド」から「アンダー・ザ・シー」。演奏したい場所は、なんと「海の中」!魚に聞かせたいとアレンジしたとのこと、おもしろいですね!

「海の中で演奏する楽しさや嬉しさを表現するため、ピアノのあらゆる鍵盤を踊るように弾いています」と語る松永貴志さん。
その通り、ピアノの鍵盤を指が縦横無尽に走り、音が楽しく弾けて、これを聞いた海の生物たちの驚きと感動が伝わってくるように私は感じました。

共演の上野耕平さんは、「自然界の不規則さのすばらしさがグルーブ感に現れていて、聞き応えがあった」とコメントをしています。


上野耕平は鉄道好き!「銀河鉄道999」をゴダイゴに代わってサックスで!

上野耕平さんは、クラシック・サクソフォンのコンクールの最高峰として知られる「アドルフ・サックス国際コンクール」で第2位を受賞。現在、演奏活動のみならず、サックスカルテット「The Rev Saxophone Quartet」,吹奏楽「ぱんだウインドオーケストラ」のコンサートマスターとしても活躍中。

演奏する曲は、ゴダイゴの「銀河鉄道999」。上野耕平さんは、鉄っちゃんでも有名! であれば、この選曲は、当然といえば当然ですね。

演奏する場所は、岩手県内を走るSL銀河。「蒸気機関車の音をサックスで表現しています」とのこと。

初端から、SLの汽笛や、走り始める音が、そうそうこんな音!と臨場感がありました。
サックスのやわらかく伸びのある音が、ゴダイゴの歌の旋律を思わせ、岩手県の豊かな自然と相まって郷愁を誘います。まるで今、汽車で旅をしているように。

演奏時の上野耕平さんの服装が機関車と同じような色合いのスーツとシャツで、車掌っぽいというか、こだわりを感じたのは私だけでしょうか?

印象的だったのは、4人の演奏家全員が、演奏していた扉の向こうからスタジオに戻ってくると、口々に「楽しかった~!」と本当にワクワクと演奏していた様子が伺えたこと。ただ想いを馳せて演奏する先に、どんな世界が広がっているのでしょうか?
演奏家の想いに、想いを馳せながら聴くのも楽しいかもしれませんね。

楽曲紹介
1:「マイ・フェイヴァリット・シングス」
作曲: R.ロジャース
編曲: 三宅一徳
箏: LEO(今野玲央)、石本かおり

2:「スペイン組曲 第1集 第1曲 グラナダ」より
作曲: I.アルベニス
編曲: M.バルエコ
ギター: 村治佳織

3:「アンダー・ザ・シー」
作曲: A.メンケン
編曲: 松永貴志
ピアノ: 松永貴志

4:「銀河鉄道999」
作曲: タケカワユキヒデ
編曲: 追川礼章
アルトサクソフォン: 上野耕平
ピアノ: 追川礼章

偉人たちが残した言葉

どんな旅にも旅人自身が気づいていない秘密の目的地がある ~マルティン・ブーバー~

 



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