題名のない音楽会でハープについてLEOが景山梨乃、上松美香、松岡莉子と語る

2020年7月25日の「題名ない音楽会」は、「知らないことだらけのハープを楽しむ休日」。

ハープってどんなイメージ?
この質問に、番組MCの石丸幹二は、「清楚な女性が優雅に弾いているイメージ」

グランドハープ奏者の景山梨乃、ケルティックハープ奏者の松岡莉子、アルパ奏者の上松美香という豪華なメンバーが、それぞれのハープの魅力や、ハープ奏者ならではの‘あるある’を語ってくれました。

ゲストのLEO(今野玲央)は、日本の筝曲家として、西洋のハープに興味津々!
ハープへの純粋な疑問や感想を語っていました。

題名のない音楽会で、景山梨乃、松岡莉子、上松美香が語るハープの演奏法に、筝アーティストLEO(今野玲央)が感動!

ハープの種類は、だいたい20種類くらいあるそうです。
そんなにたくさんの種類があるなんて、知っていました?

その為、ハープ奏者だからといって、どのハープの種類でも弾けるというわけにはいかないようです。あまりに、大きさや形状、弾き方も違い過ぎているのです。

番組に登場したハープは、”グランドハープ”、”ケルティックハープ”、”アルパ”の3種類でしたが、この3種類だけでも、形、弾き方、音色全てが異なっているのが、本当に興味深いです。

この3つのハープで演奏した「となりのトトロ」のオープニング曲。

筝アーティストLEO(今野玲央)は、それぞれのハープの音色の違いを楽しめたし、いろいろな「さんぽ」の世界観が見えた、と多彩なハープの魅力を伝えていました。

♪「となりのトトロ」より「さんぽ」
スタジオジブリ作品の「となりのトトロ」のオープニング曲

景山梨乃 (ハープ奏者)が語る”グランドハープ”

”グランドハープ”は、一番おおきなハープで、繊細な音色と優美なフォルムから「楽器の女王」と呼ばれることもあるとのこと。
オーケストラで使われるのは、”グランドハープ”だけだそうです。

弦の数は47本、指の腹を使って演奏します。

筝アーティストLEO(今野玲央)は、「自分が通常弾いている筝は、弦の数が13本なので、47本もの弦をどう操っているのか不思議に思う」と言っていました。

また、足で操作するペダルが7本あり、全ての弦のドレミファソラシに連動をしています。
ペダルは2段階で踏むように作られていて、半音を作る時に使うのだとか。
どう使うのかというと、ペダルを踏まない状態だと半音下がったフラット音が響き、ペダルを一段踏むとナチュラル音、もう一段踏むとシャープ音になるのです。
1つの弦で3つの音が出せるってことですね。

グランドハープ奏者の景山梨乃曰く、1演奏で200~300回もペダルを踏みかえることもあるとか。
「上半身は優雅に見えて、足は忙しいので、白鳥に例えられることもあります」
「両手両足を同時に使って弾くので、腰に負担がかかって大変です」とも。

何とも忙しい!ハープ演奏は体力勝負なんですね。
このように全身で奏でられる音色に、筝アーティストLEO(今野玲央)は、音域によって音色が変わっているのが面白いと評していました。

♪H.ルニエ作曲「いたずら小鬼の踊り」
ペダルを300回以上踏みかえる超難曲。

【景山梨乃 グランドハープ奏者】
東京交響楽団首席ハープ奏者。第65回ミュンヘンARD国際音楽コンクール・ハープ部門第3位、日本ハープコンクール第1位、リリーラスキーヌ国際ハープコンクール2位(1位なし)、など数々の受賞経験あり。

松岡莉子(ハープ奏者)が語る”ケルティックハープ”

”ケルティックハーブ”は、ケルト文化圏と呼ばれる地域で演奏されている民族楽器で、スコットランドやアイルランドで古くから演奏されていて、今でもパブ(酒場)での演奏には欠かせない楽器だそうです。

弦の本数は34本(29弦、36弦もある)で、グランドハープ同様に、指の腹で弦を弾きます。

グランドハープとは異なり、半音を作るのは、足ではなく手動で行います。
面白いですね。同じハープなのに楽器自体の仕組みが違う何て。
ハープの上部にそれぞれの弦と連動したレバーがついていて、手でレバーを操作して半音を出すそうです。

””ケルティックハーブの演奏を聴いた筝アーティストLEO(今野玲央)は、「目をつぶっていると、左手でレバー操作して半音変えていることに気づかないスムーズさですごいですね」と感動していました。

♪スコットランド伝統曲 松岡莉子編曲 「ターロックゴーラム」
スコットランドの伝統的なダンス曲。歴史は古く1700年代の書物にこの曲の楽譜が記載。大勢の人がこのハープの曲に合わせて陽気に踊る様子が想起されました。

♪松岡莉子作曲「マーケットのハープ奏者達」
ケルティックハープ  松岡莉子
アイルランドでの思い出を表現したオリジナル曲

【松岡莉子 ケルティックハープ奏者】ケルティックハープ奏者、作曲家。
英国王立スコットランド音楽院(Royal Conservatoire of Scotland) スコットランド音楽学科(スコティッシュハープ科)の修士課程をアジア人(日本人)で始めて修了(Award: Master of Music)。2018年、英国スコットランドで開かれた英国最大のケルティックハープのコンクール “The Princess Margaret of the Isles Memorial Prize for Senior Clàrsach” にて優勝。

上松美香(ハープ奏者)が語る”アルパ”

”アルパ”は、スペイン語で“ハープ”のこと。
南米パラグアイの民族楽器で、南米各国に色々な形のアルパがあり、特にパラグアイでは、「国民楽器」と呼ばれるほど親しまれているそうです。

弦の本数は、37本。グランドハープや、ケルティックハープとは違って付け爪をして演奏します。
そして、右手はメロディー、左手は伴奏を演奏しているのだとか。

”アルパ”は半音を作るのに、指にはめたジャベといわれる指輪(金属)を弦に押し当てて、半音を出します。

筝アーティストLEO(今野玲央)は、弦を爪で弾いて演奏して、半音は弦を抑えて出すアルパの演奏法が、筝とよく似ていて親近感を感じるとコメントし、その演奏について、「きれいですね、爪で弾いているのだけど、指が踊っているようでした」と感動していました。

♪J.M.ペローニ作曲「コーヒー・ルンバ」
コーヒー工場で働く若者が恋の悩みや苦しみを紛らわすために夜ごとにコーヒーを挽いていたという、アルパのために書かれた曲

【上松美香 アルパ奏者】
日本のアルパ奏者(アルピスタ)。12歳の頃、母の影響でアルパに興味を持ち、習い始める。
1998年にパラグアイの音楽祭「グアランバレフェスティバル(フェスティバル・デ・タクアレ)」で日本人初のアルパ奏者に選ばれ特別賞を受賞。



景山梨乃、松岡莉子、上松美香が語るハープ奏者の、おもしろ“あるある”を披露

ハープ奏者は、男性が多い⁉

海外では、ハープは伝統的に男性が弾いていたとか。
そういえば、ギリシャ神話のアポロン像がハープを持っていたりしますよね。

世界的で最も有名なハープ奏者は、なんと男性!
グザヴィエ・ドゥ・メストレ。
彼は、フランスの伯爵家に生まれ、1998年には世界でもっとも権威のあるUSA国際ハープ・コンクールで優勝した、元ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席ハープ奏者で、ハープの貴公子と呼ばれているんです。

ケルティックハープ奏者の松岡莉子は、「自分は、見かけは癒し系と言われるけど、実は内面は男性的なので、この楽器を選んだのかな」と語っていました。

また、アルパ奏者の上松美香によれば、南米パラグアイでは、9割近くの男性がアルパの奏者だそうです。それは、南米では、昔から男性がアルパを持って出稼ぎにいく風習があるからなのだそうです。

ハープは、繊細でやわらかな音色を奏でるのとは裏腹に、弾くのに体力が要りそうな楽器でもあるし、男性が主に弾いているのも納得だな、と私は思いました。

きれいな音色のハープ演奏のための必須アイテムとは?

アルパ奏者の上松美香は、演奏のために爪の手入れを欠かさないのだそうですが、その爪の補強に使っていると、取り出したのが、なんと瞬間接着剤!

「アロンアルフア 釣り名人 低粘土、多用途」

黄色のパッケージの「アロンアルファ」はよく見るけど、グリーンのパッケージの「アロンアルファ」は初めて見ました。
釣り用の接着剤とかで、釣具店に置いてあるそうです。

なんでも、あるギターリストが、「爪に塗るとすごく音がきれいに響くよ」と教えてくれて、疑いながらも接着剤を付け爪の表面にコーティングしてみたところ、ものすごく良い音がしたので、それ以来これを使っているのだそうです。

そこに、グランドハープ奏者の景山梨乃が取り出したのは、爪やすり。
ハープ奏者は、爪やすりを爪ではなく、指の腹に使うのだというのですが、一体なぜ?
それは、指の腹をやわらかくして、やわらかい音が出るようにするからなのだそうです。

音色を追求するハープ奏者の心意気を感じますね。


題名のない音楽会の「知らないことだらけのハープを楽しむ休日」を観て

番組を観るまで、ハープの印象は、高尚な楽器、というイメージでした。
しかし、古代よりある楽器で、世界各地で発達してきた歴史と文化を反映した魅力ある楽器なんだな、と認識を新たにしました。
色々なハープの演奏法の違いも面白かったし、ハープ奏者の個性ある面々に、私は非常に興味が湧きました。

プログラム

♪1:「さんぽ」
作曲: 久石譲
編曲: 萩森英明
アルパ: 上松美香
グランドハープ: 景山梨乃
ケルティックハープ: 松岡莉子

♪2:「いたずら小鬼の踊り」in-Picture
作曲: H.ルニエ
グランドハープ: 景山梨乃

♪3:「コーヒールンバ」
作曲: J.M.ペローニ
アルパ: 上松美香
ギター: 助川太郎

♪4:
スコットランドの伝統曲「ターロックゴーラム」
編曲: 松岡莉子

「マーケットのハープ奏者達」
作曲: 松岡莉子
ケルティックハープ: 松岡莉子
コントラバス: 西嶋 徹

偉人たちが残した言葉

ハープの最大の魅力は、音色の幅が驚くほど広いこと。まるでオーケストラのように。
~ハープ奏者 グザヴィエ・ドゥ・メストレ~

 

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