高木綾子、宮田大、反田恭平、木嶋真優のアンコールのお約束とは?

2020年7月4日(土曜日)放映予定の「題名のない音楽会」は、「アンコールのお約束を明かす音楽会」。
禁断の領域「アンコール」に踏み込んで、一流の音楽家が「アンコール」について語りました!

高木綾子(フルート奏者)、宮田大(チェロ奏者)、反田恭平(ピアニスト)、木嶋真優(ヴァイオリニスト)が出演!

一流音楽家たちの「アンコール」での意外な舞台裏や、人となりが知れた上に、普段はコンサートに行かないと聴くことのできない、スペシャルなアンコール曲を堪能しました。

2020年7月4日放映「題名のない音楽会」で、一流音楽家たちの「アンコール」への想いや、約束事が明らかに!

コンサートにつきものの「アンコール」がどのように行われ、どんな意図があるのか。
一流の音楽家たちが、赤裸々に語りました。

と、古坂大魔王が出演!
驚きました。突然なぜ?

お笑いタレントであり、音楽プロデュースもする彼が、観客目線で一流の音楽家に「アンコール」について率直な疑問を投げかける、という番組構成でした。

★アンコールの10個の約束事★

アンコールとは、

予定されていた本編のプログラムが終わった後に、鳴りやまない観客の拍手を受けて演奏者が再び登場して演奏する曲のこと

です。

では、アンコールにおける約束事とは、どんなものがあるのでしょうか?
番組では、10個の約束事が紹介されました。

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―観客目線で楽しめる曲をー
本編は演奏者自身が取り組みたい曲で構成するため、難解な曲が多くなりがちですが、反対にアンコールは、観客の方に楽しんでもらうことを目的に、聴き馴染みのある曲を選ぶことが多くなるそうです。
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1.聴き馴染みのある曲を選ぶ!

2.観客の様子で直前に曲を決める!

3.短い曲を選ぶ!

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―アンコールの演奏タイミングー
演奏後、舞台袖に下がった演奏者を観客が拍手で舞台に戻すカーテンコールを2回したら1曲演奏するのが基本的。
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4.すぐには演奏しない

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―音楽家の意外な舞台袖―
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5.舞台袖では楽器のメンテナンスで忙しい

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―アンコールの終了合図―
アンコールはいつまで続ければよいのか、観客もよくわからない場合もあると思います。
演奏家から発信されているさまざまな形態のメッセージに終了の合図が。――――――――――――――――――――――――――――

6.楽器を持たずに出てきたら終了の合図

7.終了の合図は、出ていく時に歩く速度を遅くする――――――――――――――――――――――――――――
―オーケストラとの共演の際のアンコールー
オーケストラと共演する場合、アンコールの演奏の仕方が違うことをご存じでしたか?
例えば、第一部は、ソリストとオーケストラの協奏曲、休憩をはさんで第二部は、オーケストラのみの演奏の場合、ソリストは、第一部の終了時、休憩前にアンコールをするのがお約束だそうです。
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8.オーケストラとのコンサートでは、アンコールのプレッシャーがスゴい!

9.協奏曲のソリストで出演した場合アンコールは休憩前

10.休憩前のオーケストラが背後にいる状況で、1人でアンコールを演奏する


高木綾子(フルート奏者)のアンコール

高木綾子(フルート奏者)のアンコール定番曲は、V.モンティ作曲の「チャールダーシュ」!
ヴァイオリンの超絶技巧が試されるこの曲を、フルートで演奏する意外性が、アンコールならではの選曲です。

ヴァイオリンで聴くよりやわらかい音色で、よりロマンチックに儚く軽快な旋律が際立ち、聴き惚れました。

そして、アンコールの前に舞台袖に入った彼女がしていることは!
なんと、アンコールに備えて楽器のメンテナンスでした。
「意外に、管楽器奏者は忙しいんですよ」

なんでも、フルートのリッププレートにすべり止めで貼っている切手が、本編の演奏中に強いライトなどで剥がれてしまうために、剥がれた切手が唄口(息を吹き込むところ)をふさいでしまわないように、貼り直さないといけないとか。

隠れたところに、こんな苦労が!


宮田大(チェロ奏者)のアンコール

宮田大(チェロ奏者)のアンコール定番曲は、S.ラフマニノフ作曲F.クライスラー編曲の『パガニーニの主題による狂詩曲』より「第18変奏」。
本編のプログラムの緊張感から、ホッと気持ちを開放して欲しいという想いで選曲しているそうです。
郷愁をさそうような旋律、そして雄大さも感じる音色に心を委ね、曲の中を漂いすっかり癒されました。

「アンコールの曲を決めるタイミングはいつ?」の質問に、本編の流れで事前に決めていることもありますが、ステージを歩きながら観客の反応を見て決めることも多いとのこと。

「ワーと盛り上がっている時には、ハイテンションの曲にしようと決めたりしています」

演奏家も空気を読んで、アンコールの選曲を即座にしているんですね。
観客の私としては、こんな配慮、嬉しいな、と思いました。


反田恭平(ピアニスト)のアンコール

反田恭平(ピアニスト)のアンコール定番曲は、W.A.モーツァルト作曲の「トルコ行進曲」。
この曲は、ピアノを習っている人ですと、発表会などで弾く機会のある馴染みの曲。

そんな曲を、プロがコンサートのアンコールに?と私は疑問に思っていましたが、聴いてみて驚きました!

縦横無尽に指が動き、曲の軽やかな明るさはそのままに、音の層が厚く重なり、壮大な音楽になってせまってきました!
自ら超絶技巧のアレンジを盛り込んで、観客に耳と目で存分に楽しんでほしいとの想いで選曲しているとのこと。
この曲は、最後の最後で弾く定番のアンコールだそうです。
なぜなら、「弾き終わると乳酸がすごいたまっちゃうんで」
そうでしょう。かなりの超絶技巧でしたから。

そして、彼はアンコールをカーテンコール1回で弾き始めるのだとか。
その理由は、「お客さまが拍手で手が痛くならないのかな?」「1曲でも多く聴いて欲しいから」ということらしいのですが、その発言に、サービス精神旺盛な彼の人柄が出ているな、と感じました。

海外のマエストロからも、「君は、アンコールを弾くのが早くない?1回お客さまを焦らして待たせちゃって良いんだよ。あの拍手は全部、君のモノなんだから、舞台袖で水の1杯も飲んで落ち着いてから行ってもよいのでは?お客さまは待っていてくれてるよ」と言われて、そんな考えもあるなと思ったそうです。


木嶋真優(ヴァイオリニスト)のアンコール

木嶋真優(ヴァイオリニスト)のアンコール定番曲は、M.ファリァ作曲の「スペイン舞曲」。
このアンコールを聴きたくて、コンサートに足を運ぶ観客もいるとか。
伴奏が反田恭平。豪華なスペシャルバージョンでの演奏でした。

粒がはねて転がるような弦とピアノの音が異国情緒たっぷりにせつなく、激しく響いて気持ちが揺れ動きました。

彼女がアンコール曲を決めるのは、その時の観客の反応を見ながら。
「今、この曲を弾いたらお客さまに喜んで頂けるな」と、演奏家も観客とのやり取りを楽しんで選曲しているんですね。

そして、アンコールの選曲で気をつけていることは、1曲の長さ。
例えば本編がソナタなどの場合、第一楽章から第三楽章まで全部で30分を超えます。
そのため、アンコールはリラックスして2~3分、長くて4分くらいになるようにしているとのことでした。

彼女は、百名近くのオーケストラのメンバー(プロフェッショナル)の前で、一人でアンコール曲を演奏するのは一番苦手と言っていました。
一流音楽家にとっても、相当なプレッシャーのようです!

ここで、観客代表の古坂大魔王が、「あーわかる。先輩芸人の前でやるコントだ」と同意を示していました。

やはり、どんな世界でも同業者の目は、プレッシャーなんですね。

今回の放映で感じたこと

一流音楽家のアンコールへの想いや、本音、配慮を聞くことができて、面白かったです。
アンコールは、演奏家と観客の対話の場なんですね。

拍手の手の痛さに注意がいきがちの私でしたが、次回アンコールを聴く場面には、演奏家からのメッセージをしっかりとキャッチして、その演奏を楽しみたいと思いました。

そして、コンサート行かずして聴くことのできたアンコールの演奏のすばらしさに、感動!!
曲の解釈なんかいらない、ただ純粋に楽しめたのが嬉しい時間でした。

出演者のプロフィール

高木綾子(フルート奏者)
今年、デビュー20周年を迎える。ジャン=ピエール・ランパル国際フルートコンクール第3位(2005年)、神戸国際フルートコンクール第3位(2005年)を始め多数の受賞歴を持ち、国内外の数多くの室内管弦楽団やオーケストラと共演している。現在は東京藝術大学などで、後進指導もおこなっている。

宮田大(チェロ奏者)
2009年ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールにおいて、日本人として初めて優勝。世界的指揮者である小澤征爾にも絶賛される日本を代表するチェリスト。近年は国際コンクールの審査員や、ロームミュージックセミナーの講師を務めるなど若手の育成にも力を入れている、

反田恭平(ピアニスト)
2015年イタリアで行われている「チッタ・ディ・カントゥ国際ピアノ協奏曲コンクール」古典派部門で優勝。モスクワにて開催された「モーツァルト生誕260周年記念コンサート」には日本人代表として選抜される。2018年には自身がプロデュースしたMLM(音楽を愛する青年たち)ダブルカルテットを創設するなど様々な室内楽の可能性に挑戦している。2018年春からNHK総合にて放送されたTVアニメ「ピアノの森」では主人公の師、阿字野壮介役の吹き替え演奏を担当した。今もっとも勢いのあるピアニスト。自らプロデュースするネット配信の演奏動画も話題になっている。

木嶋真優(ヴァイオリニスト)
2016年第1回上海アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクールにて優勝。その他数々のコンクールで優勝。ロストロポーヴィッチに『世界で最も優れた若手ヴァイオリニスト』と絶賛された経歴を持つ。2019年にはNHK紅白歌合戦にも出演し注目を集めた。

プログラム

1:「チャール・ダーシュ」
作曲: V.モンティ
フルート: 高木綾子
ピアノ: 坂野伊都子

2:『パガニーニの主題による狂詩曲』より「第18変奏」
作曲: S.ラフマニノフ
編曲: F.クライスラー
チェロ: 宮田 大
ピアノ: 西尾真実

3:「トルコ行進曲」
作曲: W.A.モーツァルト
編曲: A.ヴォロドス
ピアノ: 反田恭平

4:「スペイン舞曲」
作曲: M.ファリャ
ヴァイオリン: 木嶋真優
ピアノ: 反田恭平

偉人たちが残した言葉

「アンコールは小さな贈り物の時間。早く弾きすぎても多すぎてもいけない。 」

~名ピアニスト アンドラーシュ・シフ~


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