ベニシアさんの番組 冬の大原を楽しむ。病気と闘わずに、今できる「歌」を楽しむ/ 京都・大原の手づくりの暮らし

2021年2月7日の「猫のしっぽ カエルの手」(京都大原ベニシアの手作り暮らし)は、「音を楽しむ」の再放送。(初回2019年3月3日)

イギリスから大原に移り住んで、23年あまり。

毎朝、夫の山岳写真家、梶山正(かじやま・ただし)さんが淹れる日本茶を楽しむことが、ベニシアさんの一日の始まり。

ベニシアさんは、人の手の温もりを感じるものを日々の暮らしで好んで集めてきたけれど、年を取ってくると、物は少ない方がいいと、思ったのだとか。

だから、今日は、身の回りの整理の日。
思い入れのある品々を丁寧に拭いて、愛おし気に眺めるベニシアさん。

「手作りのものを守って大切にする。だって、人が作ってるやんか。自分の手で。こんな難しいものを。大事にしないといけない」

ベニシアさんの手作りされた物や、作った人に対する敬意と愛を感じます。




京都大原の古道具 ツキヒホシ(寂光院近く)

ベニシアさんは、京都大原の寂光院(じゃっこういん)近くの古道具ツキヒホシに、引き取りをお願いしようと訪れました。

店主の山本真琴(やまもと まこと)さんに、早速、ベニシアさんは、持ってきた道具を見てみます。

まずは、籐の箱。
これは、昔、ベニシアさんが、子どもたちとピクニックに行った時に、サンドウィッチを入れたお弁当箱。

サンドウィッチが籐の箱から出てきたら、何倍にもステキなお弁当に感じますね。

最近、店主の山本さんが見つけて、嬉しかったと語るのは、木のお皿。

昔の手作りのものが、ふと手に入ることがあるのだとか。
大事に使えば100年持つ上に、自分の次に使ってもらえる人に手渡すこともできるのが、山本さんが惹き付けられた理由。

そこにベニシアさんが、「最後、使えなくなったら、薪ストーブに入れて自然に帰すことができるし」と付け加えます。

フフッ、何かベニシアさんらしくて笑えます。

なるほど。ひとつの道具を愛して使った人たちが、リレーして、最後は感謝とともに自然に帰す。
そんなループが、ごく自然に生活の中に息づいていたら、すてきだな、と思いました。

山本さんは、京都の中心部より、家族で大原に越してきました。
もともと古いものが好きだったことから、家の前の納屋を改築して、古道具屋を始めたそうです。

そして、今、出会いの奇跡を実感しているのだとか。

1つ1つの道具との出会いは、一期一会。
昔のものは、良い木を使っていたりとか、丁寧な仕事がされていて、古くてもまだ良い状態で使えるものがたくさんあるので、それを次の人がまた受け取って使っていくということが、嬉しいといいます。

また、現代では、出番のなくなった道具をリメークして、新たな命を吹き込んでいます。

ランプシェードは、もともとはハエ取りガラス。
真ん中のくぼんでいる所が、調度、電球の大きさにピッタリなので、ランプシェードに生まれ変わりました。
少し壊れたものをどう直していくのかを考えるのも楽しいと、山本さんは言います。
これからも、大切に使ってもらいたいと、心をこめてリメークしていきます。

リメークをしていると、かつて、それを作った人の工夫に感動することもあるのだそうです。

例えば、椅子のクッション部分に、藁(わら)や、木くずが入っていたり、椅子の縁取りに、補強のために藁(わら)のロープが貼られていたりします。

山本さんは、それをそのまま活かして、リメークをしていくのです。

作られた時の想いや、しつらえをそのまま、次に使う人に渡していく、すばらしいお仕事だな、と思います。

「古道具 ツキヒホシ」
【住所】 京都市左京区大原草生町70
【アクセス】
・大原のバス停から徒歩の場合、約15分です。
・「寂光院」の手前150m、参道沿いにあります。
「寂光院」を目指して来ていただければ迷わずに見つけていただけると思います。
「民宿 大原 辻」さんの向かい、「落合の滝」にかかる小さな橋を渡っていただくと目の前で
す。三千院など寺院が多く有るエリアとは国道をはさんで反対側になります。
(2020年9月より一時休業中)
出典)古道具 ツキヒホシのWEBサイトより



古民家の再生 ツクシイバラの木を支える棚づくり

ベニシアさんの家の裏庭に、古くからあるツクシイバラの木。
その木を支える棚が垂れ下がってきてしまっているのを、夫の正さんが再生します。

工具を手慣れた手つきであやつり、棚を支える支柱を手際よくたてていきます。

冬は、植物は地中で栄養を蓄え、人は、草花のために環境を整える季節。

ツクシイバラの花を夫の正さんは好きだといいます。
何もしなくても勝手に咲くから、というのがその理由。


どんど焼き 京都の冬の風物詩

京都や北陸では、左義長とも呼ばれる、どんど焼き。
正月の終わりの小正月。
どんど焼きは、正月にお迎えした年神さまを送る、火祭りの一つとして行われてきました。
この日、大人たちは、飾っていたしめ飾りや、門松を外し、子どもたちは、書初めを外して燃やします。
炎とともに年神さまを見送り、その煙にあたることで、無病息災、五穀豊穣を願います。

書初めを燃やした炎が高くあがると、字が上手くなるとの言い伝えがあるのだそうです。

戸寺超では、子どもたちが、竹の棒で仏堂の壁を叩きながら回って、幸せな一年を願って歌を詠むという独自の風習がります。
子どもたちのお楽しみは、その後の焼き芋。


ベニシアさん、病気でできなくなったことばかりを考えない。「歌う」ことで人生を楽しむ。「好奇心こそが生きる力」

目が見えにくくなってから、文字や絵を描くことが難しいベニシアさんが、今、精力的に取り組んでいるのが、歌を歌うこと。
できなくなったことを悲しむより、今の自分にできることに取り組もう、と考えられるようになったのだそうです。

「歌う」を選んだベニシアさんは、なんと、シンガーになろうとバンド活動をしていたのだとか。
だから、歌うことは、もともと好きで、馴染みがあります。
それに、友人にも、「声が良いから、歌を歌うとよいのでは」と、言われたことが、ベニシアさんの背中を押したようです。

自分の声を録音しようと、数か月間、練習にはげんできたベニシアさんが、練習に使わせてもらっていた京都市下鴨にある知人の家を訪ねました。

この家の主、音楽家の今井春子(89歳)さんは、娘がロンドンで住んでいる家をそのまま再現していました。
そんな、イギリスサロン風の造りに、ベニシアさんは、親しみと懐かしさを感じていたのだそうです。

天井が2階分の高さにある広いフロアには、パリの会社に直接オーダーしたチェンバロの他、小型のパイプオルガンなどが、ポンポンと置かれています。

気が向いたら、今弾きたい楽器の前に行って弾くことができる自由さを感じます。

真ん中には、みなで楽しくお茶を飲みながら、音楽などを語り合えそうなテーブルがしつらえてあって、とても洒落た、人との交流を感じる、あたたかな小サロン、という感じなのです!

今、今井さんが虜になっている楽器がシター(CITHARE)。
これは、旧約聖書にも出てくる弦楽器で、フランスの修道院で盛んに演奏されて、普及したそうです。
メロディを奏でる弦と、コードを奏でる弦の組合せが、美しく、やさしく、少し哀愁が漂う音色を出していました。

ベニシアさんは、「もっと人に聴かせないと!」と身を乗り出していました。

今井さんは、音楽はずっと好きだったので、この人の歌が好きだ、となるとそれを何が何でも聴きにいくなど、興味に惹かれて続いてきたのだと思うと言ってました。
「好奇心こそが生きる力」
歳を重ねたら、自分が一番楽しいことをするのが、一番の生きる力。

今井さんには、新たに始めた趣味がありました。
日本画家であった旦那さまが遺した写生絵や岩絵の具を見ているうちに、日本画を描き始めるようになったのだとか。
絵の発表会を開いたり、俳句教室に通ったり、その行動力は驚くばかりです。
本当にお若く、人生を楽しみ、謳歌されている様子に、力づけられました。

まとめ

「好奇心こそが生きる力」この言葉に人生の全てがつまっているように感じます。
そして、「今あることを、充分に楽しむ」。これが人生の醍醐味なのかもしれません。
ベニシアさんの手作り暮らし、いかがでしたでしょうか?


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